交叉重複度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 16:07 UTC 版)
詳細は「交叉理論」を参照 代数幾何学において、代数多様体の2つの部分多様体の共通部分は既約多様体の有限個の和集合である。そのような共通部分の各 component に対して交叉重複度 (intersection multiplicity) が取り付けられる。この概念は次の意味で局所的(英語版)である。この成分の任意の生成点(英語版)の近傍において起こることを見ることでそれを定義できる。一般性を失うことなく、交叉重複度を定義するために2つのアフィン多様体(アフィン空間の部分多様体)の共通部分を考えることができるということが従う。 したがって、2つのアフィン多様体 V1 と V2 が与えられると、V1 と V2 の共通部分の既約成分 W を考えよう。d を W の次元(英語版)とし、P を W の任意の生成点とする。W の P を通る一般の位置(英語版)にある d 個の超平面との共通部分は一点 P にreduceされる既約成分をもつ。したがって、共通部分の座標環のこの成分における局所環は素イデアルを 1 つしかもたず、したがってアルティン環である。それゆえこの環は基礎体上有限次元ベクトル空間である。その次元が V1 と V2 の W における交叉重複度 (intersection multiplicity) である。 この定義によってベズーの定理とその一般化を正確に述べることができる。 この定義は多項式の根の重複度を次のように一般化する。多項式 f の根はアフィン直線上の点で、その多項式によって定義される代数的集合の成分である。このアフィン集合の座標環は R = K [ X ] / ⟨ f ⟩ , {\displaystyle R=K[X]/\langle f\rangle ,} ただし K は f の係数を含む代数閉体。 f ( X ) = ∏ i = 1 k ( X − α i ) m i {\displaystyle f(X)=\prod _{i=1}^{k}(X-\alpha _{i})^{m_{i}}} が f の分解であれば、R の素イデアル ⟨ X − α i ⟩ {\displaystyle \langle X-\alpha _{i}\rangle } における局所環は K [ X ] / ⟨ ( X − α ) m i ⟩ {\displaystyle K[X]/\langle (X-\alpha )^{m_{i}}\rangle } である。これは K 上のベクトル空間で、次元として根の重複度 m i {\displaystyle m_{i}} をもつ。 交叉重複度のこの定義は、本質的に Jean-Pierre Serre の本 Local algebra によるが、集合論的な成分(isolated component とも呼ばれる)に対してしかうまくいかず、埋め込まれた成分(英語版)に対してはうまくいかない。埋め込まれたケースを扱うために理論は発達してきている(詳細は交叉理論を見よ)。
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