二フッ化二酸素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/22 02:51 UTC 版)
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| 物質名 | |||
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Dioxygen difluoride
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別名
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| 識別情報 | |||
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3D model (JSmol)
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| 略称 | FOOF | ||
| ChEBI | |||
| ChemSpider | |||
| Gmelin参照 | 1570 | ||
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PubChem CID
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| UNII | |||
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CompTox Dashboard (EPA)
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| 性質 | |||
| O2F2 | |||
| モル質量 | 69.996 g mol−1 | ||
| 融点 | −154 °C (−245 °F; 119 K) | ||
| 沸点 | −57 °C (−71 °F; 216 K) 推定 | ||
| 他の溶媒への溶解度 | 分解 | ||
| 熱化学 | |||
| 標準定圧モル比熱, Cp |
62.1 J/(mol·K) | ||
| 標準モルエントロピー S |
277.2 J/(mol·K) | ||
| 標準生成熱 ΔfH |
19.2 kJ/mol | ||
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ギブズの 自由エネルギー (ΔfG⦵) |
58.2 kJ/mol | ||
| 危険性 | |||
| GHS表示: | |||
| Danger | |||
| NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |||
| 関連する物質 | |||
| 関連物質 | 過酸化水素 二フッ化酸素 フッ化クロリル 二フッ化二硫黄 |
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特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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二フッ化二酸素(にフッかにさんそ、英: dioxygen difluoride)は、化学式が O2F2 と表される酸素のフッ化物である。オレンジ色の固体で、-163 °Cで溶けて赤色の液体となる[1]。強力な酸化剤で、-160 °C でさえ1日に4 %の割合で分解して二フッ化酸素と酸素を生じる[2]。
合成
二フッ化二酸素は、低圧 (7-17 mmHg) のフッ素ガスと酸素ガスの1:1混合物に、2.1-2.4 kVの電圧をかけて25-30 mAで放電をすることで得られる。これは、Otto Ruff によって1933年に初めて合成された際に使われた方法である[3]。もう1つの合成法は、O2 と F2 を-196 °Cに冷却したステンレススチール管の中で混合し、数時間3 MeVで制動放射する方法である。
構造
O2F2 中では、酸素は+1の非常に珍しい酸化数をとる。他の化合物中では、酸素は通常-2の酸化数をとる。
二フッ化二酸素の構造は、90度に近い二面角をもつ過酸化水素 H2O2 に類似している。この構造はVSEPR則による予測と一致している。O-O 結合長は、二酸素 O2 中の O=O 二重結合の長さ120.7 pmより1 pmだけ長い。
二フッ化二酸素中の結合は、特に非常に短い O-O 結合長と長い O-F 結合長のため、数年間に渡って相当な推論の対象であった。Bridgeman は、O-O “三重結合”および O-F 単結合は、フッ素原子上の孤立電子対と O-O π結合の反発によって不安定化し長くなる、という説を提案した[4]。フッ素の孤立電子対の反発は、フッ素分子の長く弱い共有結合の原因でもある。
反応性
二フッ化二酸素の包括的な性質は、すべての反応が-100 ℃付近で行われなければならないにもかかわらず激しく反応する、その酸化力にある[5]。BF3 や PF5 と反応させると、対応するジオキシゲニル塩を与える[2][6]。
また、ウラン酸化物やプルトニウム酸化物を対応する六フッ化物に変化させる[7]。
出典
- ^ Kirshenbaum, A. D.; Grosse, A. V. (1959), “Ozone Fluoride or Trioxygen Difluoride, O3F2”, Journal of the American Chemical Society 81 (6): 1277, doi:10.1021/ja01515a003
- ^ a b Holleman, A. F.; Wiberg, E. (2001), Inorganic Chemistry, Academic Press, ISBN 0-12-352651-5
- ^ Ruff, O.; Mensel, W. (1933). “Neue Sauerstofffluoride: O2F2 und OF”. Zeitschrift für anorganische und allgemeine Chemie 211 (1-2): 204-208. doi:10.1002/zaac.19332110122.
- ^ Bridgeman, A. J.; Rothery, J. (1999), “Bonding in mixed halogen and hydrogen peroxides”, Journal of the Chemical Society, Dalton Transactions 1999 (22): 4077-4082, doi:10.1039/a904968a
- ^ Streng, A. G. (1963), “The Chemical Properties of Dioxygen Difluoride”, Journal of the American Chemical Society 85 (10): 1380-1385, doi:10.1021/ja00893a004
- ^ Solomon, I. J.; et al. (1964), “New Dioxygenyl Compounds”, Inorganic Chemistry 3 (3): 457, doi:10.1021/ic50013a036
- ^ Atwood, D. A. (2006), “Fluorine: Inorganic Chemistry”, Encyclopedia of Inorganic Chemistry, John Wiley & Sons, doi:10.1002/0470862106.ia076
外部リンク
二フッ化二酸素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/29 03:05 UTC 版)
詳細は「二フッ化二酸素」を参照 二フッ化二酸素(にフッかにさんそ、英: dioxygen difluoride)は、化学式が O2F2 と表される褐色気体。液体は赤褐色、固体はオレンジ色。融点-163.5 °C、沸点-57 °C。分子構造は過酸化水素のような折れ曲がった線状分子である。O-O 結合長は121.7 pm、O-F が157.5 pm、∠FOO が109.3°、二面角は87.3°である。 二フッ化二酸素は、低圧力下の O2 と F2 の等モル混合気体中に低温77-90 Kで高圧放電すると得られる。分解して酸素とフッ素になりやすい。O-F 間距離140.9 pm、∠FOF 103.18°。 -50 °Cでは半減期3時間ほどで O2 と F2 に分解する。 強力なフッ素化剤、酸化剤で、条件を制御すると OOF 基(フルオロペルオキシル基)が導入される。多くの物質は低温でもこれに触れると爆発的に反応し、四フッ化エチレン C2F4 も COF2、CF4、CF3OOCF3 に分解する。脂肪族一級アミンと反応して対応するニトロソ化合物を与える。三フッ化ホウ素のようなフッ素イオン受容性物質と反応するとジオキシゲニル塩を生成する。 O 2 F 2 + BF 3 ⟶ O 2 + BF 4 − + 1 2 F 2 {\displaystyle {\ce {{O2F2}+BF3\longrightarrow O2^{+}BF4^{-}\ +{\frac {1}{2}}F2}}}
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