中枢性免疫寛容の機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 23:36 UTC 版)
「中枢性免疫寛容」の記事における「中枢性免疫寛容の機能」の解説
中枢性免疫寛容は、成熟したB細胞やT細胞が自己抗原を外来微生物として認識しないようにするため、免疫細胞が正常に機能するのに不可欠である。より具体的には、T細胞受容体(TCR)やB細胞受容体(BCR)は、ランダムな体細胞組換えによって細胞内で作られるため、中枢性免疫寛容が必要となる。V(D)J組換えと呼ばれるこのプロセスは、受容体の多様性を高め、B細胞やT細胞が新規抗原に対する受容体を持つ見込みを高めるために重要である。接合部多様性(英語版)は組換えの際に発生し、BCRやTCRの多様性をさらに高める役割を果たしている。ランダムなTCRやBCRの生成は、その高い突然変異率から、微生物に対する重要な防御手段となっている。このプロセスは、種の存続にも重要な役割を果たしている。なぜなら、種の中でさまざまな受容体の再編成が行われ、少なくとも1つの種のメンバーが新規抗原の受容体を持つ可能性が非常に高まるからである。 体細胞組換えプロセスは、免疫防御を成功させるために不可欠であるが、これは自己反応性につながる可能性がある。たとえば、体細胞の組換えに必要な酵素である機能的なRAG1/2(英語版)の欠如は、患者の血球に対して抗体が作られる免疫性血球減少症の発症に関連している。ランダムな受容体組換えの性質により、自己抗原を外来性として認識するいくつかのBCRやTCRが生成される。これらのB細胞やT細胞が活性化された場合、中枢性免疫寛容メカニズムによって死滅したり不活性化されたりしない限り、自己に対する免疫系攻撃を開始するために問題がある。そのため、中枢性免疫寛容がなければ、免疫系が自己を攻撃してしまい、それは持続性を欠くもので自己免疫疾患を起こす可能性がある。
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