三畳紀のカメ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 04:57 UTC 版)
カメ類は側頭窓を持たない。このため、鳥やワニなどよりも古く、ペルム紀に分布していた無弓類から分岐したと考えられ、祖先となった可能性のある生物として、カプトリヌス、パレイアサウルス類 (Pareiasauridae) などが挙げられていた。 それに対し、発生学の面からは側頭窓が二次的に閉じた双弓類ではないかという説が出されていた。また、脊柱の可動性など全身の骨格の形態および石灰質の卵殻を持つことなどから、カメ類は主竜類に属するのではないかという見解が示された。さらに近年の分子系統学的解析の結果も、カメが双弓類それもワニや鳥など主竜類に近縁な生物であるとの見解を支持した。この説に従えば、カメは一度は持った側頭窓を後に再び失ったと考えられる。一方、トカゲ・ヘビなどの有鱗目は、カメよりも古く分岐したとされる。 カメとその他の爬虫類の中間の形態を持つ化石資料や現生生物は発見されていなかったため、カメ目の進化は極めて短期間に生じたと考えられていた。 中国南西部の貴州省で、これまでに発見された中では最も古いカメの化石が中生代三畳紀後期、約2億2,000万年前の地層から発見された。このカメは、腹側に甲羅を発達させていたが、背側は不完全であり、オドントケリス・セミテスタケア(Odontochelys semitestacea、「甲羅が半分で歯のあるカメ」の意)と名付けられた。また、海生生物の化石とともに発見されたため、海生であったとされる。以上の事から、初期のカメの進化の舞台が主に水中であり、下方からの捕食者の襲撃を防ぐために甲羅を発達させたとのではないかと記載者は考えている。この化石が甲羅の進化を解き明かす鍵になるかも知れないとも期待されるが、2012年現在、本種と現生のカメとの系統関係は明確になっていない。 この生物より約1,000万年後に生息していたプロガノケリスは、口蓋部に歯が残っていた点、頭部や四肢を甲内に収納できず、むしろ頭から尾の先までの全身を数多くの棘で武装していた点が現生のカメと異なるものの、現生のカメ類に近い甲羅や、嘴を持ち、側頭窓を失うという特徴をすでに具えていた。プロガノケリスなど初期の属は、その他のカメ目の二亜目と姉妹グループの関係にあると考えられている。
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