ヴィル・ヌヴェル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 08:19 UTC 版)
1912年にモロッコがフランスの保護国とされた後、建築家アンリ・プロストの構想に沿った新たな地区の建設が開始され、1916年にフランス人の居住区となる新市街が完成した。1956年のモロッコ王国の独立後、旧市街の住民はフランス人が引き上げたヴィル・ヌヴェルに移住した。 旧市街南西の平坦な農地ダール・デビバグが新市街の建設場所に選ばれ、平らな地形を活用した競馬場や飛行場が建設された。フランス風の大通りが地区の中心を走り、街路樹としてオリーブが植えられている。フェズの人口増加に伴って多くの高層住宅と一戸建ての家屋が建てられ、役所、ホテル、スークが整備された。ヴィル・ヌヴェルの東にはフェズ大学のキャンパス、軍事基地、病院が置かれている。 新市街に建つチュニス・モスクは、1957年にモロッコ人によって建立されたスンナ・モスクという小さな礼拝所が元になっている。1958年にフェズを訪問したチュニジア共和国の初代大統領ハビーブ・ブルギーバはモロッコ人によってかつてのフランス人居住区に建てられたスンナ・モスクを見て感じ入り、新市街唯一のモスクであるスンナ・モスクへの寄付を申し出た。増築に際してスンナ・モスクが建てられている街区全体が更地にされ、1961年に工事を終えたモスクはブルギーバにちなんで「チュニス・モスク」と改名された。チュニス・モスクにはモロッコでは珍しい赤レンガ風のタイルが使用されており、併設されているミナレットは白の素地が赤茶と緑のタイルで縁取られている。入り口には木の扉が取り付けられており、木彫りと漆喰彫り、緑と紺の2色のタイルで装飾されている。旧市街の歴史的なモスクと同じように、チュニス・モスクの天井部分はムカルナスで飾られている。 1987年完成のユースフ・ベン・ターシュフィーン・モスクは、近隣の住民の礼拝の場となっていたカフェの地下室を前身としている。
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