ロレイナストーブの失敗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 14:28 UTC 版)
「アプロヴェチョ」の記事における「ロレイナストーブの失敗」の解説
詳細は「en:Cook stove#Lorena adobe stove」を参照 ARC は1976年グアテマラ地震を受けて活動を開始した。当時は6人の技能者がおり、泥の扱い方と現地の文化には通じていたものの、ストーブの設計法やテスト手法については知らなかった。ARC は粘土と砂を用いたストーブを考案し、スペイン語の lodo (泥) と arena (砂) を合わせてロレイナと命名した。ロレイナストーブは現地で手に入る材料で安価に製作でき、煙突があるので室内を汚染せず、機能的で美しい外見を持つという長所のため、焚き火で調理していた現地では非常に人気を博した。そこで ARC は世界を飛び回り、本も出版してロレイナストーブの普及に努めた。 しかし5年後に科学者達がロレイナストーブをテストした所、使い方次第ではロレイナストーブは石を3つ置いたストーブより多くの燃料を消費する可能性があると判明した。 ロレイナストーブは版築で囲まれた構造となっているが、それは版築が断熱材として働くはずだという、断熱と蓄熱に対する根本的な誤解に基づいていた。優れた断熱材は熱伝導を妨げる。蓄熱材はその逆で熱を吸収する。テストの結果、ロレイナストーブの版築は鍋を暖めるのに用いられるべき熱を吸収してしまう事が示された。またクリーンな燃焼も達成できていなかった。この失敗のため ARC はストーブの設計を根本からやり直し、科学者達の協力を得る事と性能テストを実施する事が不可欠だとの教訓を得た。 後にロレイナストーブは改良され、炉の部分には断熱材を使用するようになった。ロケットストーブの技術を応用しロケットロレイナストーブと呼ばれる物もある。
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