マトリョーシカ人形
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/16 22:11 UTC 版)


マトリョーシカ人形(マトリョーシカにんぎょう、ロシア語: матрёшкаマトリョーシュカ)は、ロシアの民衆風木工品[1]である入れ子構造の人形である。単に「マトリョーシカ」ともいう。
概要

胴体の部分で上下に分割でき、その中には一回り小さい人形が入っている。これが何回か繰り返され、人形の中からまた人形が出てくる入れ子構造になっている。入れ子にするため腕は無く、胴体とやや細い頭部からなる筒状の構造である。5 - 6重程度の多重式である場合が多い。
マトリョーシカという名称は、ロシアの女性名からきている。それぞれの人形には民族衣装のサラファンとエプロンをまとい、頭にプラトーク(スカーフやショールの意)[1]を被った若い女性の姿が彩色されているのが本来であるが、レーニンをはじめロシア・ソ連の歴代指導者が描かれたものや、動物など人間以外のものが描かれたものなど、絵柄は各種に広まっている。日本にもマトリョーシカ人形と同じ作りで、だるまなどの入れ子人形がある。
上記の通り「マトリョーシカ」は女性名であり、入れ子という意味は無いが、その意味で多く使われている。
ルーツ
1900年のパリ万国博覧会で銅メダルを受賞したのを機会に、ロシア帝国各地で色々なマトリョーシカ人形が作られるようになり、ロシアの民芸品、土産物として知られるようになった。
パリ万博以前の歴史はそう古くはないようだが、そのルーツとなるものはいくつかの説が挙げられている。
-
ヴァシーリー・ズビョズドチキンによって削り出され、セルゲイ・マリューチンによって彩色された初期のマトリョーシカ。セルギエフ・ポサード玩具博物館収蔵(1892年製) - 19世紀末、神奈川県箱根町にあったロシア正教会の避暑館にやってきたロシア人修道士が、本国への土産に持ち帰った箱根細工の七福神の入れ子人形がマトリョーシカの元になったという説[3][4]。
箱根細工の七福神人形 - 20世紀初頭、愛媛県・松山捕虜収容所で日露戦争で捕虜となったロシア兵が、愛媛の郷土玩具の一つ姫だるまをまねて作ったという説。[要出典]
しかし、日露戦争は1904年から1905年の出来事であるため、3の説は1900年にパリ万博でマトリョーシカ人形が銅メダルを獲得している事実と明らかに矛盾する。日本ユーラシア協会では、1・2の説を採用している。
他には、
- モスクワに近いセルギエフ・ポサード(旧・ザゴルスク)にある美術教育玩具博物館には、マトリョーシカの第一号と、箱根細工の七福神入れ子人形が展示されており[5]、髙山伸之は自著において、日本から教わったという旨の縁起を記したキャプションがあると述べている[6]。
- ロシアで国営工場があったニジニ・ノヴゴロド州(ニジェゴロド州)では伝統工芸が盛んな州都ニジニ・ノヴゴロドにあるセミョーノフをマトリョーシカの発祥地としており、ニジニ・ノヴゴロド州観光サイトや同州と交流のある宮城県が記している[7]。
といった由来説もある。
中国のマトリョーシカ
世界最大


ギネス世界記録で記されている「世界最大のマトリョーシカ」は、ロシアやモンゴルとの国境に近い内モンゴル自治区満洲里市に位置するマトリョーシカ・ホテルである。2017年に開業した同ホテルの内部は吹き抜け構造になっており、外装に沿って部屋が配置されている。内装は徹底的にマトリョーシカをテーマにした装飾で飾られており、近隣地には中型マトリョーシカ群が建築されている[8]。
中国マトリョーシカの里
黒竜江省ハルビン市の南東に位置する尚志市一面坡鎮では、19世紀末から20世紀初頭に多くのロシア人が移住してきたことから、マトリョーシカ人形の生産が盛んで、「中国マトリョーシカの里」として知られている[9]。
脚注
出典
- ^ a b 熊野谷葉子 (2023年11月3日). “入れ子人形「マトリョーシカ」のルーツは「日本の七福神」なのか…慶大教授が徹底調査したロシア土産の謎 有名な工芸品なのに、いつ誰が考案したのか分からない”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン). プレジデント社. 2025年5月16日閲覧。
- ^ a b 長塚英雄(編)『ロシアの文化・芸術』 生活ジャーナル 2011年、ISBN 978-4-88259-148-1 pp.288-289.
- ^ ソビエト社会主義共和国連邦駐日大使館広報部『今日のソ連邦』1984年12月1日
- ^ 沼田元氣「こけし ロシア旅する」『日本経済新聞』 2013年11月14日
- ^ 【はじまり考】マトリョーシカ 七福神こけしから『読売新聞』夕刊2018年9月18日(5面)
- ^ 髙山伸之著『変見自在 サダム・フセインは偉かった』新潮社 2007年(平成19年)
- ^ ロシア連邦ニジェゴロド州との経済交流について - 宮城県
- ^ 佐藤健寿 (2021年9月29日). “《厳選写真》死者を担いで踊る奇習、幽霊が蘇らせた小さな村の廃教会…各地を巡る写真家が目にした“奇妙すぎる世界””. 文春オンライン. 文藝春秋. 2025年5月16日閲覧。
- ^ “動画:マトリョーシカ人形で町おこし 中国黒竜江省”. afpbb.com. フランス通信社 (2024年11月14日). 2025年5月16日閲覧。
参考文献
- 熊野谷葉子『マトリョーシカのルーツを探して 「日本起源説」の謎を追う』岩波書店、2023年9月26日。ISBN 978-4000248365。
関連項目
- こけし
- ドロステ効果
- 自己相似
- フラクタル
- 再帰
- マトリョミン - マトリョーシカ人形の形をしたテルミン(電子楽器)。どちらもロシア製であることで結びつけられた製品だが、マトリョミンは外見のみマトリョーシカで中は入れ子構造ではない。一般的なテルミンとはまた別の演奏技術を要する面もある。
- 旅ずきんちゃん 〜全日本のほほ〜ん女子会〜 - 中部日本放送制作の紀行バラエティテレビ番組。出演者をマトリョーシカ人形化したアニメーションを使用。
外部リンク
ロシアン・ドール: 謎のタイムループ
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ロシアン・ドール: 謎のタイムループ Russian Doll |
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![]() |
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ジャンル | コメディドラマ ミステリー |
原案 | |
出演者 |
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国・地域 | ![]() |
言語 | 英語 ドイツ語 ハンガリー語 |
シーズン数 | 2 |
話数 | 15(各話リスト) |
各話の長さ | 24 - 33分 |
製作 | |
製作総指揮 |
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製作 |
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放送 | |
放送チャンネル | Netflix |
放送期間 | 2019年2月1日 | - 現在
『ロシアン・ドール: 謎のタイムループ』(原題:Russian Doll)は、アメリカ合衆国のコメディドラマシリーズ。誕生日に交通事故で死んでしまった主人公が、タイムループで同じ日を繰り返すミステリードラマ[1]。ナターシャ・リオンが主演、製作を務める。Netflixにより制作され、2019年2月より世界同時に配信された。2022年4月20日、シーズン2が配信された[2]。
番組はプライムタイム・エミー賞の作品賞、主演女優賞など4部門にノミネートされた[3]。
登場人物
メイン
- アラン
- 演 - チャーリー・バーネット、日本語吹替 - 福西勝也
- ナディアのようにタイムループしている。
- ルース・ブレナー
- 演 - エリザベス・アシュリー、日本語吹替 - 田村千恵
- 若い頃 - ケイト・ジェニングス・グラント(シーズン1)、アニー・マーフィ(シーズン2)
- セラピスト。ナディアの後見人。レノーラとも仲が良かった。
リカーリング
- ホース
- 演 - ブレンダン・セクストン3世、日本語吹替 - 五味洸一
- ナディアが助けたホームレス。
- リジー
- 演 - レベッカ・ヘンダーソン、日本語吹替 - 杉山滋美
- ナディアとマキシンの友人。
- フェラン
- 演 - リテーシュ・ラジャン、日本語吹替 - 清水健佑
- デリで働くアランの友人。
- チェザレ・”チェズ・”カレラ
- 演 - シャールト・コプリー
- 1982年のレノーラの恋人。
- ベラ・ペシャワー
- 演 - Irén Bordán
- レノーラの母親でナディアの祖母。ホロコーストを生き延びたハンガリー系ユダヤ人で、1982年と1968年に登場する。
- 1944年のベラ - Ilona McCrea
- デリア(シーズン2)
- 演 - Athina Papadimitriu
- ヴェラの長年の親友。ハンガリーでのポライモスから生き残ったロマ。1982年と1968年に登場する。
- 1944年のデリア - Franciscka Farkas
- デレク
- 演 - エフライム・サイクス
- 1982年の地下鉄を巡回するガーディアン・エンジェルスの一員。
ゲスト
- ウォードッグ
- 演 - ワリス・アルワリア、日本語吹替 - 五味洸一
- マキシンが麻薬を買っている売人。
- オードリー
- 演 - Mirirai Sithole、日本語吹替 - 小若和郁那
- アランの隣の部屋に住む女性。
- レニー
- 演 - サンドル・フュンテク
- アグネス
- 演 - キャロリン・ミシェル・スミス
- 1962年に登場する、アランの祖母。
- クリストフ・ハラース
- 演 - Balázs Czukor
- ハンガリーの画家で、ナディア一家の財産を没収した矢十字党将校の孫。
エピソード
シーズン | 話数 | 放送期間 | |||
---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | 2019年2月1日 | |||
2 | 7 | 2022年4月20日 |
*各シーズン全話一斉配信
シーズン1(2019)
通算 話数 |
タイトル | 監督 | 脚本 | 公開日 |
---|---|---|---|---|
1 | "この世界は何もかも大変" "Nothing in This World Is Easy" |
レスリー・ヘッドランド | 原案:ナターシャ・リオン & レスリー・ヘッドランド & エイミー・ポーラー 脚本:レスリー・ヘッドランド |
2019年2月1日 |
2 | "偉大なる逃避" "The Great Escape" |
レスリー・ヘッドランド | ナターシャ・リオン & エイミー・ポーラー | 2019年2月1日 |
3 | "見せかけのぬくもり" "A Warm Body" |
レスリー・ヘッドランド | アリソン・シルヴァーマン | 2019年2月1日 |
4 | "アランのルーティン" "Alan's Routine" |
ジェイミー・バビット | Cirocco Dunlap & レスリー・ヘッドランド | 2019年2月1日 |
5 | "優越コンプレックス" "Superiority Complex" |
ジェイミー・バビット | Jocelyn Bioh | 2019年2月1日 |
6 | "反映" "Reflection" |
ジェイミー・バビット | Flora Birnbaum | 2019年2月1日 |
7 | "出口" "The Way Out" |
レスリー・ヘッドランド | 原案:アリソン・シルヴァーマン 脚本:アリソン・シルヴァーマン & レスリー・ヘッドランド |
2019年2月1日 |
8 | "アリアドネ" "Ariadne" |
ナターシャ・リオン | ナターシャ・リオン | 2019年2月1日 |
シーズン2(2022)
通算 話数 |
タイトル | 監督 | 脚本 | 公開日 |
---|---|---|---|---|
1 | "時間を超えて" "Nowhen" |
ナターシャ・リオン | ナターシャ・リオン | 2022年4月20日 |
2 | "コニー・アイランド・ベイビー" "Coney Island Baby" |
アレックス・ブーノ | アリソン・シルヴァーマン & Zakiyyah Alexander | 2022年4月20日 |
3 | "ブレインドレイン" "Brain Drain" |
ナターシャ・リオン | ナターシャ・リオン & Alice Ju | 2022年4月20日 |
4 | "それぞれの旅" "Station to Station" |
アレックス・ブオノ | Alice Ju & リジー・ローズ & ナターシャ・リオン | 2022年4月20日 |
5 | "優美な死骸" "Exquisite Corpse" |
アレックス・ブオノ | アリソン・シルヴァーマン | 2022年4月20日 |
6 | "シュレディンガーのルース" "Schrödinger's Ruth" |
アレックス・ブオノ | Cirocco Dunlap | 2022年4月20日 |
7 | "マトリョーシカ" "Matryoshka" |
ナターシャ・リオン | ナターシャ・リオン & Alice Ju | 2022年4月20日 |
評価
受賞
脚注
- ^ Ramos, Dino-Ray (2019年1月9日). “‘Russian Doll’ Trailer: Natasha Lyonne Relives Death On An Endless Loop In Netflix Comedy” (英語). Deadline. 2020年5月1日閲覧。
- ^ Otterson, Joe (2019年6月11日). “‘Russian Doll’ Renewed for Season 2 at Netflix” (英語). Variety. 2020年5月1日閲覧。
- ^ Mitovich, Matt Webb (2019年9月23日). “Emmys 2019: Game of Thrones Ties Record and Leads TV Pack; Fleabag, Chernobyl and Mrs. Maisel Win Big” (英語). TVLine. 2020年5月1日閲覧。
外部リンク
- ロシアンドールのページへのリンク