レウキッポスの娘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 12:41 UTC 版)
このアルシノエーは、メッセニア地方の王レウキッポスの娘で、ヒーラエイラ、ポイベーと姉妹。アポローン神との間に医術の神アスクレーピオス、エリオーピスを生んだ。しかし通常はアスクレーピオスの母となった女性はプレギュアースの娘コローニスといわれている。 パウサニアースはアスクレーピオスの誕生について3つの説を挙げているが、その中でアルシノエーを母とする説を3番目に挙げ、最も信憑性に欠けると述べている。その根拠として、アルカディアー地方のアポロパネースという人物がデルポイの神託にアルシノエー説の真偽を尋ねたところ「アスクレーピオスはアポローンとコローニスの子であり、神が生まれたのは(メッセニアではなく)エピダウロスの堅い大地の上である」との返答があったという逸話を挙げている。またアルシノエー説が生まれた理由については、ヘーシオドスかあるいは別の詩人が、メッセニア人に気に入られようとして創作したのではないかと述べている。少なくともメッセニア地方ではアルシノエー説がまことしやかに語られていたらしく、パウサニアースは彼らがトロイア戦争に参加したアスクレーピオスの子マカーオーンの故郷トリッカと同じ地名がメッセニア地方にあることや、『イーリアス』の中で老将ネストールがマカーオーンに対して親切であったことを根拠として挙げていたと述べている。 メッセニア地方の都市メッセーネー(英語版)のアゴラには、アルシノエーの名前にちなんだ泉があった。またメッセーネー市内にあるメッセーネー(トリオパスの娘)を祀った神殿には、同地方の神話的人物を描いた画家オムパリオーンの図像があり、アルシノエーもその中に父や姉妹たち、アスクレーピオスとともに描かれていた。 一方、メッセニア地方に近いラコーニア地方西海岸の都市レウクトラ(英語版)でも、アスクレーピオスの母はアルシノエーであると信じられていた。さらにスパルタ市内のアペタオス通りにある、ヘレーニオンと呼ばれる場所の近くには、アルシノエーの神域があった。
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