プレギュアースの娘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 20:37 UTC 版)
このコローニスは、 ラピテース族の王プレギュアースの娘で、医術の神アスクレーピオスの母とされる。コローニスの物語はカラスの色が変わる変身譚とともに語られている。 コローニスはアポローンに愛されて子を身ごもったが、ヘーシオドスによるとエラトスの子イスキュスと結婚した。 しかし、多くの伝承ではコローニスはイスキュスと密通したとされる。ピンダロスによれば、コローニスはアポローンの子供を身ごもったにもかかわらず、アルカディアー地方からの客人イスキュスに恋をし、父プレギュアースに隠れてイスキュスと密通した。しかし、アポローンはすぐに気づき、アルテミスを送ると、アルテミスは多くの者とともにコローニスを射殺した。そしてコローニスが火葬されるとき、アポローンは自分の子を救い出し、ケイローンに養育させた。 後に成長したアスクレーピオスは死者さえも蘇らせる名医になった。ピンダロスの物語ではカラスは登場しないが、多くの物語では、カラスがコローニスの密通に気付き、アポローンに知らせる。アポローンは怒って以前は白い色だったカラスを黒い色に変え、またコローニスを殺した。しかし、アポローンは後悔して自らの手で火葬し、そのさいに子アスクレーピオスをコローニスの胎内から救い出して、ケイローンに養育させた。アントーニーヌス・リーベラーリスでは、コローニスの密通の相手はアルキュオネウスとされる。 エピダウロスの詩人イシュロスによると、コローニスはプレギュアースとムーサの1人エラトーとマロスの娘クレオペマーの娘である。パウサニアースによると、プレギュアースがエピダウロスにやって来たとき、コローニスはすでにアポローンの子を身ごもっていた。そして、プレギュアースに同行してエピダウロスにやって来て、アスクレーピオスを出産し、ミュルティオン山に捨てた。この赤子はヤギに養われ、羊飼アレスタナスに発見されたとき、神々しく光っていた。 なお、一説にアスクレーピオスの母はレウキッポスの娘アルシノエーともいわれ、古代でも意見が分かれていたが、アポロパネースというアルカディアー人がデルポイでどちらの伝承が正しいか神に質問すると、コローニスの子であるという答えが返ってきたという。
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