ルールにおける隠し球
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 05:55 UTC 版)
隠し球は、投手がボールを持っているように見せかけ、投手以外の野手がボールを隠し持ち、走者が離塁した際に触球をすることで行われることが多い。 具体的には、牽制球を投げられて帰塁した走者がヘッドスライディングなどで体勢を崩している間に内野手が返球の偽投を行い、投手への返球が行われたと誤認した走者が塁から手を離した隙にタッチアウトにする手法や、打者が進塁打を放ってプレイが一段落した際に野手が投手まで返球したと見せ掛けたり、一度投手まで返球したボールを再度巧妙に内野手まで受け渡す等して、油断した走者が塁から一瞬でも足を離した隙を突いてタッチアウトにする手法などが行われる。プレイ中にボールを捕球している内野手が、ベースカバーの為にマウンドを離れている投手に近づいて直接ボールを受け渡す「ふり」をする動作なども、隠し球の常套手段の一つである。 これらの手法は走者の油断だけではなく、ベースコーチが走者の動向に気を取られすぎて、インプレイ中のボールの行方にまで十分着目できていなかったり、更にはベンチの自軍要員がインプレイ中の敵野手の動向に対する警戒を怠っている場合に特に成功しやすいとされる。 ただし、投手がボールを持っていないのに投手板を跨いだり、捕手とサインの交換をするなどの偽装はボークとなる。日本プロ野球では、1999年4月3日の読売ジャイアンツ対阪神タイガース戦で、巨人の三塁手・元木大介が隠し球を試みたが、桑田真澄投手がボークをとられたという事例がある。桑田は、左足が投手板をまたいでいるように見えたと審判員から通告されたと語っている。 なお、走者はボールインプレイのときに離塁して触球されるとアウトになるので、プレイが一段落したところで審判員にタイムを要求し、タイムが宣告されボールデッドになってしまえばアウトになることはない。球審がプレイを宣告し、再びボールインプレイとなるときは、「ボールデッドになった後、投手が新しいボールか、もとのボールを持って正規に投手板に位置して、球審がプレイを宣告したときに、競技は再開される。」(公認野球規則5.12(8))…と定められているので、一度ボールデッドとなれば、ルール上、隠し球が起こることはない。 従って、攻撃側の隠し球に対する防衛策としては、打者が必ずプロテクターを着用して打席に入り、出塁した際にはタイムを掛けてコーチにプロテクターを回収させる事を励行したり、走者がいる状況でプレイが止まった際には必ずタイムを掛けるよう要求する事などが挙げられる。 公式記録上では、補殺者なしで、走者に触球した野手に刺殺が記録される。また、プレイの状況によっては『併殺』・『三重殺』が記録される場合もある。
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