ルーマニア語との軋轢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/27 02:14 UTC 版)
独立以前に学校教育を受けたルーマニア系モルドバ人は、大学レベルの高等教育でルーマニア語を修学していないため、特別に個人的な努力を行わない限り、ルーマニア語で最終学歴を終えたルーマニアのルーマニア人に比べて一般的にルーマニア語における表現力に乏しく語彙が少ない。こうした事情からルーマニアのルーマニア人の目にはモルドバ人が無教養に映り、ルーマニア系モルドバ人はこれに劣等感を持つことがある。 また人によってはロシア語とルーマニア語を混ぜて話すこともある。単に単語を交ぜるだけにとどまらず、ある文をロシア語で話した後に次の文をルーマニア語で話すなど、同じモルドバ人ですら困惑するような場合が存在する。当然ルーマニア人やロシア人にとっても解釈ができなくなってしまう。 2001年から2009年までモルドバ共和国の大統領を務めたウラジーミル・ヴォローニンは、モルドバ人ではあるがロシア語を母語としており、ルーマニア語が下手なことで有名である。歴史解釈に関しても一般のルーマニア系住民と異なっていたためかねてから問題となっていたが、2006年7月にルーマニア大統領トラヤン・バセスクの発言がきっかけで確執が再燃し、ヴォローニンのロシア寄りの歴史観を元にした発言とバセスクに対する反論がルーマニアのテレビで放映された。この際、ヴォローニンはルーマニア語で発言していたにもかかわらず、先に述べた理由で語彙が不足であったこと、語用が不適切だったこと、文法上の誤りを大量に犯していたことなどからルーマニア人にとって理解し難いものとなり、発言中ルーマニア語の字幕が画面下部に流れた。ちなみに、通常ヴォローニンは国内のスピーチではルーマニア語ではなくロシア語を使っている。 このようなヴォローニンのモルドバ的なルーマニア語の話し方は、モルドバの田舎に住む教養水準の低い人々によく見られる傾向である。
※この「ルーマニア語との軋轢」の解説は、「モルドバ語」の解説の一部です。
「ルーマニア語との軋轢」を含む「モルドバ語」の記事については、「モルドバ語」の概要を参照ください。
- ルーマニア語との軋轢のページへのリンク