ルソー『告白』の記述
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 09:27 UTC 版)
「ケーキを食べればいいじゃない」の記事における「ルソー『告白』の記述」の解説
「ケーキを食べればいいじゃない」は通常、王妃マリー・アントワネットの言葉とされるが 、実際にアントワネットが発したという記録はみつかっていない。この台詞はジャン=ジャック・ルソーの自伝的な『告白』(出版は1782年であるが、最初の6巻が1765年に書かれたときにマリー・アントワネットは9歳だった)に出てくることで知られる。まずルソーは盗んだワインの供にパンを求めていることが前段にあるのだが、そのときの格好が瀟洒に過ぎてただのパン屋へは行きかねた。そこで彼はある「たいへんに身分の高い女性」の言葉を思い出すのである。6巻にはこう書かれている。 Enfin je me rappelai le pis-aller d’une grande princesse à qui l’on disait que les paysans n’avaient pas de pain, et qui répondit : Qu’ils mangent de la brioche. とうとうある王女がこまったあげくに言ったという言葉を思いだした。百姓どもには食べるパンがございません、といわれて、「ではブリオシュ〔パン菓子〕を食べるがいい」と答えたというその言葉である。 そしてルソーはブリオッシュのようなぜいたく品しか売っていない高級な菓子店に行くのである。この「たいへんに身分の高い女性」が誰とは名指されていないままである。『告白』が概して非常に不正確な自伝であることを考慮すると、これはルソーの考えたアネクドート(小咄)だともいえる。至るところでルソーは「事実」を包み隠すことなく認めるのだが、現代の研究者が検証した限りでは、誤っていたり歪められていたり、そもそも存在しなかったりするとされる。しかし彼の著作は最も古い「ケーキを食べればいいじゃない」という言葉の典拠となっている。
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