ユードキシア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/14 10:16 UTC 版)
「マイケル・ヴァン・ヴァルケンバーグ」の記事における「ユードキシア」の解説
1987年、ランドスケープの新しい試みを集めた展覧会、「Transforming the American Garden」展が開催された。その中の1つの作品としてマイケル・ヴァン・ヴォルケンバーグが出展した「ユードキシア」は、架空の都市の一角に提案されたポケットパークであり、会場の壁面には縦長のアクソメ図面が4枚が展示された。ドローイングが4枚である理由は、一見したところ、四季それぞれのポケットパークを描いたからのように思われる。またその空間構成は、当時の建築界で多用されたロシア構成主義的なスキームで成立、そこにこそヴォルケンバーグの隠された批評があることに気づく。彼は、あえてかたちのオリジナリティを捨て、季節がもたらす空間の変容をテーマとしていた。カバかブナであろうか、円形をかたちづくる生け垣が、夏はその他の常緑の中に埋もれているが、秋を迎えそれは密実な色鮮やかな紅葉を見せ円形空間を浮き上がらせる。ところが雪景色のドローイングの中ではすっかり葉を落とし、円形空間は姿をひそめ、代わりに常緑樹が短冊形の空間を規定する。すなわち、「ユードキシア」にとって、ロシア構成主義の形式は「かりそめの姿」なのである。円形や短冊状の空間の重なり合いそのものではなく円形の空間が実質的に現れたり消えたりすること、空間そのものが生きていることを彼は描き出している。時間とともに、文字通り空間のかたちが変わること、これはどれだけ立体的に高度な空間を構成しようにもほかの芸術に成しえないランドスケープの1つの本質を導いた。
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