ユースケースの目的と範囲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 08:32 UTC 版)
「ユースケース」の記事における「ユースケースの目的と範囲」の解説
各ユースケースは、1つの目標やタスクを成し遂げる方法を描く。ソフトウェアプロジェクトでは、開発予定のシステムに関するユースケースを数十ほど描く場合がある[要出典]。そのソフトウェアプロジェクトの形式性の度合いやプロジェクトの段階によってユースケースに求められる詳細さのレベルが変化する。 ユースケースとシステムの機能は一致するとは限らない。1つのユースケースが複数の機能に対応していることもある。1つの機能が複数のユースケースに対応していることもある。 ユースケースは、あるゴールを成し遂げるにあたっての外部のアクターとシステムとのやり取りを定義する。アクターはそのシステムとやり取りする人間や物の「役割」である。実際には1人の人間であっても、役割が複数あれば複数のアクターとして描かれる。例えば、A さんが現金自動預け払い機(ATM)で預金を引き落とす場合には「顧客」であるが、同じ A さんが実は「銀行員」として ATM にお金を補充するなら、それは別の役割である。 ユースケースではシステムをブラックボックスとして扱う。したがってシステムの反応を含めたシステムとのやり取りは外部から観測されるものとして描かれる。これは意図的に設定された方針であり、ユースケース作成者はシステムがどう動作するかではなく何をするかに集中しなければならない。これによって特定の実装方法を暗黙のうちに前提としてしまう罠を避けるのである。 ユースケースには、ビジネスユースケースとシステムユースケースがある。これらの違いはその対象範囲だけである。ビジネスユースケースはビジネス全体をブラックボックスとして扱い、そのビジネスと外部のアクターとのやりとりを描く(例えば、顧客が何かを購入するシナリオなど)。ビジネスユースケースの詳細によりビジネスのプロセスが定義される。 ビジネスユースケースを具体化することで、労働者がそのビジネスでどのように協力してビジネスの外部アクターに価値を提供するかが説明される。労働者の一部でも自動化されるなら、その自動化される部分はシステムユースケースの対象となる。その場合、他の労働者や外部アクターはそのシステムユースケースでのアクターとなる。 ユースケース作成の際の注意点は以下の通りである: 特定のゴールを達成するためにシステムをアクターがどう使うかを描く。 実装を限定するような言葉を使わない。 適切なレベルの詳細さで描く。 ユーザーインターフェイスや表示などの詳細を含めない。これらはユーザーインターフェイス設計の範疇である。
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