ユング心理学の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 04:38 UTC 版)
ユング心理学の「集合的無意識」と「元型」の概念は、神話学や民俗学、宗教学や文化人類学の研究者に大きな影響を与えた。 チューリッヒのユング研究所が主催したエラノス会議には、心理学、宗教学、神話学、民俗学等の多様な研究者が出席し、会議において発表された論文は、学際的な研究成果として意味を持った。神話学者カール・ケレーニー、宗教学者ミルチャ・エリアーデ等は、ユング心理学より多くを学んだ。かつてユングの患者であったヘルマン・ヘッセも出席したという。 その一方、ユングが生前、錬金術や超常現象の研究なども志向し、「共時性」を、占星術、テレパシー、予知等を説明する原理としても考察したため、超常現象研究者やオカルト的宗教が、その主張を依拠させる科学理論として、ユング心理学を利用するというような事態も生じた。 ユングの向性(外向-内向)概念は、臨床心理学から一般心理学へ採り入れられた数少ない概念のうちの一つである。 1972年に発表されたドゥルーズ&ガタリの「アンチ・オイディプス」は、フロイト精神医学の全般的批判を繰り広げたが、その中で、ユング的な方向性、無意識の多方向性を、機械状無意識というイメージを持って展開している。それはユングが統合失調症を解明しようとして挫折した方法を、洗練された論理によって成功させたものと言えよう。
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