ユビキチン化システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/08 03:38 UTC 版)
「ユビキチンリガーゼ」の記事における「ユビキチン化システム」の解説
ユビキチンリガーゼはE3とも呼ばれ、E1ユビキチン活性化酵素とE2ユビキチン結合酵素と共に働く。E1には1つの主要な酵素が存在し、全てのユビキチンリガーゼに共有される。E1酵素は、ATPを利用してユビキチンを活性化して結合し、それをE2酵素へ転移する。E2酵素はそれぞれ特異的なE3のパートナーと相互作用し、ユビキチンを標的タンパク質へ転移する。一般的には、特定のタンパク質基質へのユビキチン化反応標的化を担っているのはE3である。E3は複数のタンパク質からなる複合体であることもある。 ユビキチン化反応は、E3ユビキチンリガーゼの作用機序に依存して、3段階または4段階で進行する。保存された最初の段階では、ATPによって活性化されたユビキチンのC末端のグリシンをE1のシステイン残基が攻撃し、Ub-S-E1チオエステル複合体が形成される。ATPの加水分解によるエネルギーがこの反応性チオエステルの形成を駆動し、続く段階は熱力学的に中立である。次に、チオール転移反応 (transthiolation) が起こり、E2のシステイン残基が攻撃を行ってE1に取って代わる。HECTドメイン(英語版)型のE3リガーゼでは、ユビキチン分子はE3に転移し、その後基質へ転移される。一方、より一般的なRINGフィンガードメイン(英語版)型のリガーゼでは、ユビキチンはE2から基質へ直接的に転移される。ユビキチン化反応の最終段階では、標的タンパク質のリジン残基のアミン基の攻撃によってシステインが除去され、安定なイソペプチド結合が形成される。注目すべき例外の1つはp21タンパク質である。このタンパク質のユビキチン化はN末端のアミンを利用して行われ、ユビキチンとはペプチド結合が形成されることとなる。
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