モダン時代劇として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/12/05 16:01 UTC 版)
内容は、可憐な町娘と彼女に恋する人々を織りなしたストーリーに、明朗な歌が入るシネオペレッタである。日本でもアメリカのミュージカル映画(『ジャズ・シンガー』、『巨星ジークフェルド』など)やドイツウーファのシネオペレッタ(『会議は踊る』、『ガソリンボーイ三人組』)の影響を受け、トーキー初期から『うら街の交響楽』(監督:渡辺邦男、音楽:福田宗吉・古賀政男、1935年、日活多摩川撮影所)、『百万人の合唱』(監督:富岡敦夫、音楽:飯田信夫、1935年、J.O.スタヂオ・ビクターレコード)などの作品がつくられていた。『鴛鴦歌合戦』もその一つであるといえるが、時代劇に設定されている。 本作では、江戸時代の登場人物が当時最先端のジャズに歌い躍る。冒頭部、お富(服部)と若者のコーラスの掛け合い、そして峯澤丹波守(ミネ)が家来たちとスウィングに乗って歌いながら登場するところから、楽しい世界に引きつけられる。当時も、同作を観た宝塚歌劇団の高木史朗、音楽評論家の野口久光がわざわざ京都ホテルまで出向き、「これこそ初めての日本のオペレッタ映画だ」と絶賛した。 本作の原型は、前年1938年(昭和13年)に公開された日活作品『弥次喜多道中記』であるといわれており、マキノ正博監督らスタッフ、および出演者の片岡、志村、香川良介、ミネ、服部らが本作と共通している。しかし、前作に比べて本作『鴛鴦歌合戦』は、歌と台詞がより洗練された形でかみ合っており、格段の進歩を感じさせる出来栄えである。また、ミネの歌う骨董の笛のくだりには、撮影の同年のミネのヒット曲『或る雨の午后』(作詞:島田磬也、作編曲:大久保徳二郎、テイチクレコード)のメロディが、服部富子が市川春代と恋のさや当てを演じる場面では服部の持ち歌『満州娘』のメロディが、それぞれ巧妙にフィーチャーされている。
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