モジュライスタック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 02:21 UTC 版)
「モジュライ空間」の記事における「モジュライスタック」の解説
興味深い幾何学的な対象は、自然な自己同型を数多く持っている場合が多い。特に、この場合は詳細モジュライ空間の存在が不可能となる。(直感的には、L がある幾何学対象であるとして、自明な族 L × [0,1] は非自明な自己同型 L × {0} を L × {1} を同一視することで S1 上のツイストした族となる。そこで詳細なモジュライ空間 X が存在したとすると、写像 S1 → X は定数であってはならないが、自明性により任意の固有な開集合の上では定数である必要がある。)従って、荒いモジュライしか得ることができない。しかしながら、このアプローチは空間の存在が保障されていないので理想的というわけではなく、存在するときは特異な状態であることがよくあるので、モジュライ空間が分類する対象の非自明な族についての詳細を誤ることになる。 より込み入ったアプローチは、同型を覚えておくことで、分類をより細分化することである。詳しくいうと、任意の基底 B 上で B 上の族の射)としてとる族の間の同型のみを B に付帯する射とするカテゴリを考えることができる。すると、ファイバーカテゴリ(英語版)(fibred category)を考えることができ、任意の空間 B へ B 上の族にグルーポイドが付随する。グルーポイドの中にファイバーをもつカテゴリ化してモジュライ問題の記述に使うことは、グロタンディェック(Grothendieck)(1960/61)まで遡る。一般にそれらはスキームや、代数的空間(英語版)(algebraic space)でさえも表現することができないが、多くの場合には代数的スタック(algebraic stack)の自然な構造を持っている。 代数的スタックと、それらのモジュライ問題への使用はデリーニュ・マンフォード(Deligne-Mumford)(1969) に与えられた種数の(荒い)代数曲線のモジュライ空間(英語版)(moduli of algebraic curves)の規約性の証明のためのツールとして現れた。代数的スタックということばは、本質的にはモジュライを「空間」として扱うファイバー化されたカテゴリとみなす系統的な方法を提供し、多くのモジュライ問題のモジュライスタックは対応する荒いモジュライよりも(例えば、滑らかであるというように)より扱いよくなった。
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