ベルヌーイの定理の適用条件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 10:23 UTC 版)
「ベルヌーイの定理」の記事における「ベルヌーイの定理の適用条件」の解説
渦なしの流れであれば(II)のタイプ「一般化されたベルヌーイの定理」により、異なる流線間でも圧力や速さの比較ができる。非粘性流体においては上流が一様流である流れや静止状態から出発した流れは渦なし流れであるので、例えば、一様流の中の翼の問題では異なる流線でも比較ができる。(ただし、不連続流や噴流領域を跨いではいけない。また、実在流体の場合、後述のように境界層や伴流領域は除かれる。) 上述のように「渦なしの流れ」の性質を使わなくても、一様流中の翼の問題においてベルヌーイの式を全空間で使えることを証明できる。以下簡単のため重力は無視する。 翼の近傍を通る任意の異なる2つの流線 A, B を考える。流線 A, B はともに上流の一様流まで伸びること、さらに、一様流中では速度だけでなく圧力、密度も一定、つまり、ベルヌーイ関数も一定値をとることを考慮すると、流線A上のベルヌーイ関数の値と流線B上のベルヌーイ関数の値とは等しいことが導かれる。これより、全空間でベルヌーイの式(ベルヌーイ関数の値=一定)が成立することが導かれた。 一般には、(I)のタイプの定理では異なる流線間の比較はできないが、流線曲率の定理を使えば異なる流線間での比較ができる。流線上で成り立つベルヌーイの定理と流線曲率の定理は運動方程式の流線に関する接線成分と主法線成分にそれぞれ対応する。 粘性流体であっても、境界層外部や伴流外部の層流領域のように、非圧縮・渦なし流れであれば粘性項の寄与を無視できるので、その領域ではベルヌーイの定理を適用可能である。
※この「ベルヌーイの定理の適用条件」の解説は、「ベルヌーイの定理」の解説の一部です。
「ベルヌーイの定理の適用条件」を含む「ベルヌーイの定理」の記事については、「ベルヌーイの定理」の概要を参照ください。
- ベルヌーイの定理の適用条件のページへのリンク