ベルヌイ写像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/28 02:24 UTC 版)
ベルヌイ写像は、コイントスの無限鎖(カントール集合)上のシフト作用素の効果を記述する、散逸力学系のある種単純なモデルである。ベルヌイ写像はパイこね変換に近い関連のある片側版である。ベルヌイ写像を k 個の記号の無限鎖上に作用する k-進版に一般化したものをベルヌイスキーム(英語版)と言う。ベルヌイスキーム上のシフト作用素に対応する転送作用素 L k {\textstyle {\mathcal {L}}_{k}} は [ L k f ] ( x ) = 1 k ∑ n = 0 k − 1 f ( ( x + n ) / k ) {\displaystyle [{\mathcal {L}}_{k}f](x)={\frac {1}{k}}\sum _{n=0}^{k-1}f((x+n)/k)} で定義される。 ある意味当然のこととして、この作用素の固有ベクトルはベルヌイ多項式で与えられる。式で書けば L k B m = 1 k m B m {\displaystyle {\mathcal {L}}_{k}B_{m}={\frac {1}{k^{m}}}B_{m}} である。固有値 k−m < 1 であることが、これが散逸系であるという事実を示している。非散逸測度保存力学系に対しては転送作用素の固有値は単位円上にある。 任意の完全乗法的函数(英語版)からこの乗法定理を満足する函数を構成することができる。f(n) を完全乗法的、すなわち任意の整数 m, n に対して f(mn) = f(m)f(n) とするとき、そのフーリエ級数を g ( x ) = ∑ n = 1 ∞ f ( n ) exp ( 2 π i n x ) {\displaystyle g(x)=\sum _{n=1}^{\infty }f(n)\exp(2\pi inx)} と定める。右辺の和は収束するものと仮定すれば g(x) は存在し、それ乗法定理 1 k ∑ n = 0 k − 1 g ( ( x + n ) / k ) = f ( k ) g ( x ) {\displaystyle {\frac {1}{k}}\sum _{n=0}^{k-1}g((x+n)/k)=f(k)g(x)} に従う。つまり、g(x) はベルヌイ転送作用素の固有値 f(k) に属する固有函数である。ベルヌイ多項式に対する乗法定理は、乗法的函数を f ( n ) = n − s {\displaystyle f(n)=n^{-s}} と取ったときの特別の場合である。
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