プロスタグランジンE合成酵素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 07:13 UTC 版)
「プロスタグランジンE2」の記事における「プロスタグランジンE合成酵素」の解説
PGESはPG合成系の中間体であるPGH2から生理活性化合物であるPGE2への代謝反応を選択的に触媒する酵素である。PGESにはmPGES-1、mPGES-2およびcPGESの3種類が存在しており、それぞれ特徴が異なる。 mPGES-1 (Microsomal PGE Synthase-1) mPES-1の機能発現は主にCOX-2と共役しており、癌や炎症、疼痛、発熱、組織修復などに関与することが知られている。mPGES-1は炎症刺激によって発現が上昇する3量体の誘導型酵素であり、抗炎症薬であるグルココルチコイドにより発現が抑制される。mPGES-1の誘導には転写因子Egr-1が関与しており、mPGES-1プロモーター領域近位のGCボックスに結合することで転写活性化を引き起こす。 mPGE-2 PGES-2は二量体を形成しており、アミノ基側末端を介して脂質膜に結合している。様々な組織・細胞にmPGES-2の構成的な発現が見られ、炎症や組織損傷などによって誘導されないタイプの酵素であると考えられている。しかし、結腸・直腸癌ではmPGES-1と共にその発現量が増大していることが報告されている。 cPGES(Cytosolic PGE Synthase) cPGESはコシャペロン分子のp23と同一のタンパク質であり、細胞質中に存在してCOX-1由来PGH2の代謝を行う。炎症などの因子に影響を受けない構成型酵素であるが、カゼインキナーゼ2 (CK2) によるリン酸化によりミカエリス・メンテン係数(Km)が大きく減少することが報告されており、CK2によるリン酸化はcPGESの酵素活性とPGE2産生量に結びついている。
※この「プロスタグランジンE合成酵素」の解説は、「プロスタグランジンE2」の解説の一部です。
「プロスタグランジンE合成酵素」を含む「プロスタグランジンE2」の記事については、「プロスタグランジンE2」の概要を参照ください。
- プロスタグランジンE合成酵素のページへのリンク