プレノールとは? わかりやすく解説

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3-メチル-2-ブテン-1-オール

分子式C5H10O
その他の名称プレノール、Prenol、Prenyl alcohol、プレニルアルコール、3-Methyl-2-buten-1-ol、γ-メチルクロチルアルコール、γ-Methylcrotyl alcohol、2-Methyl-2-butene-4-ol
体系名:3-メチル-2-ブテン-1-オール、2-メチル-2-ブテン-4-オール


プレノール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/26 03:58 UTC 版)

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プレノール
識別情報
CAS登録番号 556-82-1 
PubChem 11173
ChemSpider 10700 
EC番号 209-141-4
特性[1]
化学式 C5H10O
モル質量 86.132 g/mol
密度 0.848 g/cm3
融点

−59 °C (calculated)

沸点

約142 °C

への溶解度 17 g/100 ml (20 °C)
log POW 0.91
危険性
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H226, H302
Pフレーズ P210, P233, P240, P241, P242, P243, P264, P270, P301+312, P303+361+353, P330, P370+378, P403+235, P501
EU Index not listed
引火点 43.3 °C (110 °F)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

プレノール(Prenol)は、天然に精製するアルコールである。IUPAC名は、3-メチル-2-ブテン-1-オールという。最も単純なテルペンの1つで、無色透明の精油であり、水には適度に溶け、ほとんどの有機溶媒と任意の割合で混ざる。果物のような香りを持ち、香水に使われることもある。

天然には、柑橘類クランベリーコケモモスグリブドウラズベリーブラックベリートマト、精白パン、ホップ油、コーヒーキイチゴクラウドベリーパッションフルーツ等に含まれる[1]。また、ドイツのBASFや日本のクラレによって、医薬品や香料の中間体として工業生産されている。2001年の世界全体での生産量は6,000トンから13,000トンであった[1]

工業生産

プレノールは、工業的にはホルムアルデヒドイソブテンを反応させ、得られたイソプレノール英語版(3-メチル-3-ブテン-1-オール)を異性化することで生産される[1][2]

ポリプレノール

プレノールは、次の一般式で表されるイソプレノイドアルコールの構成単位となる。

H–[CH2CCH3=CHCH2]n–OH

繰り返されるC5H8単位はイソプレンと呼ばれ、このような構造の化合物は「イソプレノール」と呼ばれることもあるが[3]、プレノールの異性体であるイソプレノールとは別のものである。最も単純なイソプレノイドアルコールはゲラニオール(n=2)であり、ファルネソール(n=3)、ゲラニルゲラニオール(n=4)と続く。

アルコールと結合するイソプレン単位が飽和されたものはドリコールと呼ばれる。ドリコールは、多糖合成の際に糖を運搬する。細胞膜の防御、細胞タンパク質の安定化、免疫系の維持にも重要な役割を果たす。

プレノールは、少なくとも5単位以上ある時には、脱水反応によって重合し、重合体はポリプレノールと呼ばれる。ポリプレノールは、100単位程度まで大きくなれる。長鎖のイソプレノイドアルコールは、「テルペノール」とも呼ばれ、タンパク質カロテノイド、脂溶性のビタミンAビタミンEビタミンK等のアシル化に重要な役割を果たす。

ポリプレノールは、細胞代謝においても重要である。摂取されたポリプレノールは、肝臓でドリコールに代謝され、ドリコールリン酸回路に入る。ポリプレノールの薬理活性は、慢性炎症性や腫瘍等によってドリコールが欠乏するのを補う効果に由来する[4]

生きた針葉樹の葉は、ポリプレノールを最も多く含み、広く供給源となっている[5]

出典

  1. ^ a b c d 3-Methyl-2-buten-1-ol, SIDS Initial Assessment Report, Geneva: United Nations Environment Programme, (May 2005), http://www.inchem.org/documents/sids/sids/556821.pdf .
  2. ^ See, eg, Kogan, S. B.; Kaliya, M.; Froumin, N. (2006), “Liquid phase isomerization of isoprenol into prenol in hydrogen environment”, Appl. Catal. A: Gen. 297 (2): 231–36, doi:10.1016/j.apcata.2005.09.010 .
  3. ^ See, eg, Goodfellow, Robert D.; Huang, Yung-Sheng; Radtke, Harold E., Jr. (1972), “Isoprenol biosynthesis in the fly, Sarcophaga bullata”, Insect Biochem. 2 (8): 467–75, doi:10.1016/0020-1790(72)90027-3 .
  4. ^ Edlund, C.; Söderberg, M.; Kristensson, K. (1994), “Isoprenoids in aging and neurodegeneration”, Neurochem. Int. 25 (1): 35–38, doi:10.1016/0197-0186(94)90050-7, PMID 7950967 .
  5. ^ Company Announcement – Report on Opening of Tomsk Production Facility, Solagran Ltd., (2008-03-27), http://www.asx.com.au/asx/statistics/displayAnnouncement.do?display=pdf&idsId=00826503 2009年8月31日閲覧。 .

外部リンク



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