プッシュロッドエンジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 14:45 UTC 版)
「モータースポーツにおけるメルセデス・ベンツ」の記事における「プッシュロッドエンジン」の解説
1990年代初頭、アメリカのインディカーシリーズ(Indy Car World Series)の運営や規則の策定は基本的にはCART(カート、Championship Auto Racing Teams)によって統括されていたが、その内の1戦で、同シリーズにとっての看板レースとなっていたインディ500のみ、アメリカ合衆国自動車クラブ(USAC)によって管理されていた。 両者は同じ車両を走らせるため、基本的には同じテクニカルレギュレーション(技術規則)を使用していたが、規則の中には微妙な相違点も存在した。エンジンについては、CARTで使用が許されているのは2,650㏄以下の8気筒のOHCエンジンだった。一方、インディ500で適用される(USACが策定した)規則では、量販車に搭載されたOHVエンジン(プッシュロッドエンジン)のシリンダーブロックをベースにしたエンジンを使用する場合(かつ1気筒あたり2バルブの場合)、排気量は最大3,430㏄まで許可されており、加えて、ターボチャージャーのブースト圧(過給圧)の点でも優遇する扱いになっていた。この規則は量産車の安価なエンジンをベースとすることを奨励し、高価なレース専用エンジンとも競えるようにすることで、小規模なエンジンビルダーでも参入しやすくすることを目的として設けられたものである。この時点で、マリオ・イリエンは、その規則であれば、プッシュロッドエンジンは通常のOHCエンジンよりも大きな出力が見込め、性能的な優位性を引き出せる可能性があるということに気づいていた。 1993年、USACは翌年からは「量販車のシリンダーブロック(ストックブロック)を使用しなければならない」という規制を撤廃することを決定した。これでインディ500では「レース専用設計のプッシュロッドエンジン」を搭載して参戦することが可能となり、プッシュロッドエンジンの優位性はより確実なものとなった。
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