ブレッドボードとは? わかりやすく解説

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ブレッドボード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/30 08:36 UTC 版)

最近主流になっている、ソルダーレス(=はんだづけ不要)のブレッドボード。この写真は穴が400のタイプ。
上のソルダーレスタイプと同じ配置ではんだづけするタイプ。
ソルダレス・ブレッドボードで回路を組んだ例

ブレッドボード(英:breadboard, prototyping board あるいはprotoboard)とは、電子回路実験や試作をするための板である[1]。「プロトタイプ基板[2]」や「プロトタイピング基板[3]」とも。

「ブレッ」ボードは誤記。

概説

ブレッドボードは電子回路の実験試作評価などに用いる。

「breadboard」の元々の意味は、パン切り用のまな板である[1]。ラジオ愛好家たちがパン切り用の木製のボード上で回路を作ってきた歴史から、「breadboard」が回路の実験・試作用の板、という意味でも用いられるようになった。

ブレッドボードの中でも特に、各種電子部品ジャンパ線英語版を差し込むだけで電気的に接続され、電子回路を組むことの出来る、はんだ付けが不要なタイプの基板を指す場合、1970年代には「solderless breadboard(ソルダーレス・ブレッドボード)」と呼ばれていた。最近では、はんだづけがないものが一般的になったので、英語でも単に「breadboard」と呼ぶことが多い。

2010年代の日本のアマチュア工作の世界では、漠然と「ブレッドボード」と言うと、穴に素子やワイヤーを差し込むタイプ(ソルダレスタイプ)をもっぱら指していることが多い。

種類、分類

差し込み式 / はんだづけ式 / ワイヤラッピング式 / (木の板タイプ) などと分類することが可能である。

最近のものは「はんだづけが必要なタイプ」および「はんだ付けが不要(ソルダーレス)のタイプ」に2大別する方法がある。 ソルダーレス式ははんだ付けが不要ということが大きな特徴である。試行錯誤のために何度もハンダをつけたり取ったりすると熱に弱い部品を劣化させたり壊してしまうことがあるが、はんだづけ不要のタイプはそうならないという長所がある。

歴史

1920年代TRF受信機。Signal社製。木製の板の上に組み立てられている。

ラジオ黎明期から、愛好家たちは回路を組むにあたり、入手しやすく安価で丈夫な木製のパン切りまな板を用いてきた[4]。当時のラジオの部品はかなり大きく重かったので、それらを配置するのにパン切りまな板のサイズや丈夫さはちょうどよかったこと、また乾燥させた木材はちょうど手ごろな絶縁体であることも選ばれた理由として挙げられる。回路の部品(トランスフォーマー真空管キャパシタ、銅線、端子など)を配置し、はんだ付けして回路を作った。また画鋲を使うのも一般的であった。

を打って、それを中継ラグ端子とし、そこに部品や配線をハンダ付けしたり、線を巻きつけることで接続して、回路に関するアイデアについて試行錯誤も行われた。

1961年の米国特許3145483Aは、木製の板にバネ機能を持った部品や他の部品をあらかじめ組み付けたブレッドボードである[5]。1967年の米国特許3496419は回路をあらかじめプリントしておく、というものである[6]

現在もっとも広く用いられているブレッドボードは白い合成樹脂製の、差し込み式で はんだ付け不要のタイプであるが、これは1971年にRonald J. Portugalが特許を取得したものである[7]

木の板を用いるタイプ

板に釘を打ち付けるものはボード自体も容易に自作可能である。電子部品の小型化が進み、ユニバーサル基板方式の試作板や差し込み式が登場・普及するにつれて、次第にすたれていったが、現代でも面白がって作る例がある。

ワイヤラッピング式

ワイヤラッピングタイプ

1970年代には、基板に金属端子が立っているものが現われた。そこに線を巻きつけること(ワイヤラッピング)で、はんだづけをしなくても回路をつくることができた。

ユニバーサル基板タイプ

「ユニバーサル基板」と呼ばれる汎用のプリント基板もブレッドボードの一種である。1991年ころまでは主流だったタイプであり、特に、高周波回路や大電流を流す回路の試作では今もこちらが用いられる。電子部品のリード線やワイヤー類をはんだづけする必要がある。

様々なタイプがあり、碁盤の目のように単純に穴ひとつとその周囲に銅薄膜(ランド)が並んでいて穴と穴の導通(電気的な接続)はリード線で行うもの、あらかじめ穴が複数個でグループ化し導通しているもの、あらかじめ全ての穴と穴が碁盤の線のような銅薄膜で全て導通していて不要な線を使用者がカッターで切断するもの、などがある。

プリント基板方式のプロトタイピング基板の主な材質(素材)は、「FR-4」はガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板、「FR-3」はフェノール樹脂で固めたもの、「FR-1」は紙基材フェノール樹脂銅張積層板、「CEM-3」はガラス布・ガラス不織布基材エポキシ樹脂銅張積層板、などと分類される。いずれも絶縁素材である。ランドが片面だけのもの、 両面のものがある。

差し込み式

穴にリード線を差し込むタイプで、1971年にRonald J.Portugalが特許を取得した。20年経過して特許が切れてからは製造者が次第に増えてゆき、普及しはじめた。現在ではソルダーレス式では差し込み式しか実際上は使われていないので、差し込み式のことをソルダーレスと呼ぶことが多い。

ブレッドボードの図。4つの区画に分かれるタイプ。赤線と青線は一対のバス。この図のものは、計4組のバスがある。各穴は数字とアルファベットで特定できる。「1」の行のAからEの穴は裏側で導通しているが「2」の行とはつながっていない。

素子やジャンパーワイヤーの抜き差しで回路の変更が自在にでき、回路の試作・実験用、また電子回路に関する学習教育用として広く用いられている。

穴の間隔が、(基本的に)汎用のIC(集積回路)の足の間隔(DIP ICピッチ。2.54ミリ)と一致しており、ICもそのまま差しこむことができる。

複数のブレッドボードを並べて互いに接続して用いることもできるので、大規模な回路も組むことができる。

ただし、差し込み式のブレッドボードはその性質上若干の制約があり、大きな寄生容量(回路によっては寄生インダクタンスも)があるため高周波回路(おおむね10MHz以上)には向かない。また、接点の抵抗のため大電流を流す回路(おおむね500mA以上)にも向かない。

脚注

  1. ^ a b Oxford Dictionary, "breadboard".
  2. ^ プロトタイプ基板”. SWITCH-SCIENCE. 2021年1月3日閲覧。
  3. ^ 片面SMDプロトタイピング基板 エクール (72×47mm) Cタイプ 金フラッシュ”. 秋月電子通商. 2021年1月3日閲覧。
  4. ^ Tangentsoft, What is a "Breadboard"?
  5. ^ google patent US3145483A
  6. ^ google patent US3496419A
  7. ^ google patent USD228136

関連項目



ブレッドボード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/20 10:23 UTC 版)

基板」の記事における「ブレッドボード」の解説

趣味での電子工作試作実験用いられるはんだ付け不要電子部品差し込むだけで配線可能な基板一部試作会社では、プリント配線板製品前の試作基板のことをいう。

※この「ブレッドボード」の解説は、「基板」の解説の一部です。
「ブレッドボード」を含む「基板」の記事については、「基板」の概要を参照ください。

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