ヒトでの活性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/28 05:31 UTC 版)
伝統的にリンゴ酸シンターゼは細菌のグリオキシル酸回路の一部として記載されており、ヒトのリンゴ酸シンターゼの活性はStrittmatterらの研究で初めて報告された。その研究では、CLYBLと呼ばれるヒトのミトコンドリアの酵素がリンゴ酸シンターゼ活性を持つことが明らかにされた。CLYBLは真核生物の複数の分類群に存在しており、細菌でも保存されている。CLYBLは、C末端ドメインの大部分が欠失している点で他のリンゴ酸シンターゼとは異なり、特異的活性や効率は低い。CLYBLはミトコンドリアのビタミンB12関連経路の3つのメンバーであるMUT、MMAA(英語版)、MMAB(英語版)と強く共発現しているため、ビタミンB12の代謝経路と関連づけられている。さらに、CLYBLタンパク質の喪失につながる機能喪失型多型は、ヒト血漿中のビタミンB12レベルの低下と関係している。CLYBLがビタミンB12の代謝へ関与する正確な機構はあまり解明されていないが、CLYBLはシトラマリルCoA(citramalyl-CoA)をピルビン酸とアセチルCoAに変換すると考えられている。この変換が行われない場合、シトラマリルCoAの前駆体であるイタコニルCoA(itaconyl-CoA)が細胞内に蓄積し、ビタミンB12の不活化へつながる。この不活化はメチオニン回路を阻害し、セリン、グリシン、1炭素化合物、葉酸の代謝が低下する。
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