ヒトでの関連疾患
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 09:34 UTC 版)
「ヘッジホッグシグナル伝達経路」の記事における「ヒトでの関連疾患」の解説
胚発生において有害な変異であれ、母体における催奇形物質の蓄積であれ、ヘッジホッグシグナルを錯乱することは重篤な発達異常につながりうる。前脳が2つの大脳半球うまく分かれない全前脳胞症は実際、出生16,000例のうち1例、流産も含めば200例に1例の割合で起きるが、その一部ではShhやPTCHを含むヘッジホッグ関連遺伝子に変異が見られる。バイケイソウの1種であるVeratrum californicumに含まれるアルカロイドはSmoothenedを阻害する働きがあり、これを妊娠したヒツジが食べると、その子どもが全前脳胞症の最も著しい形である単眼症(Cyclopia)を呈するため、そのアルカロイドにシクロパミンという名前が付けられた。 脳腫瘍、肺癌、乳癌、前立腺癌、皮膚癌など様々な臓器の癌においてヘッジホッグシグナルが活性化されていることが知られているが、その中でも皮膚の一般的な悪性腫瘍である基底細胞癌はヘッジホッグシグナルととりわけ密接な関係がある。事実、基底細胞癌の腫瘍細胞ではPTCH1の不活性化(Loss-of-function)やSmoothenedの活性化が見られる。すなわち、このシグナル伝達経路を活性化されることで体性幹細胞ががん幹細胞に変わり、腫瘍になっていくと考えられている。そのため、ヘッジホッグシグナル伝達経路を特異的に阻害する薬剤が、様々なタイプの悪性腫瘍に対する効果的な治療になるのではないかと期待されている。
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