ハーネスの技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/25 20:33 UTC 版)
「ホースハーネス(英語版)」および「頸環」も参照 馬の重要性と利用を促進したハーネス(harness、引き具)における重大な発明は、とくに耕起やほかの農作業のためのホースカラー(horse collar、馬用首輪、頸環、わらび形)だった。ホースカラーは5世紀のあいだに中国で発明され、9世紀のあいだにヨーロッパに到来し、12世紀までにはヨーロッパ中に広まった。それは初期の時代に使用されたくびき(軛、衡、頸木、yoke)や胸懸(むながい、breastcollar)で車両を連結したときよりも、より大きな重量をけん引することを可能にした。くびきは牛用につくられており、後半身の力を使うことよりも肩で引くことを馬に要求し、馬には解剖学的に適さなかった。このような方法のつなぎ方では、馬のチームで500キログラム以上はけん引できなかった。動物の首と胸に平らなストラップを渡す胸当て(英語版)方式のハーネスは、軽車両をけん引するには有用であったが、重労働にはほとんど役に立たなかった。これらのストラップは馬の気管と胸骨頭筋(sterno-cephalicus muscle)を圧迫し、呼吸を制限して馬のけん引力を弱めた。胸懸ハーネスによる2頭立てのけん引は、合わせて合計1,100ポンド(500キログラム)程度が限界であった。対照的に、ホースカラーは馬の肩に載っており、呼吸を妨げることはなかった。それは肩でけん引するのではなく後半身で首輪を前に押し出すことにより、馬にその力を最大限発揮させることを可能にした。ホースカラーを使えば、一般に持久力がより高まり、1日当たりの稼働時間を増す能力があるだけでなく、より速く動かすことを可能にしたため、馬1頭は牛1頭よりも50パーセント多い時間当たりの仕事量で作業成果を提供できた。より効率的な首輪ハーネスを用いれば馬1頭で約1,500ポンド(680キログラム)の重量をけん引することができた 。 チームの配置を変更することにより、さらなる改良が図られた。横並びよりも前後に連結することで重量が均一に分散し、けん引力が増加した。この馬力の増加は、トロワ建設の記録において車引き(carter)が50マイル(80キロメートル)離れた採石場から石を運んだことで実証された。カートの重量は平均して5,500ポンド(2,500キログラム)で、そこへ通常5,500ポンド(2,500キログラム)の石が積み込まれ、ときには8,600ポンド(3,900キログラム)にまで増加することがあった。これはローマ時代の負荷からの大幅な増加だった。
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