ニール・アダムスとコミックス・クリエイターズ・ギルド
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「アメリカン・コミックスにおけるクリエイターの権利」の記事における「ニール・アダムスとコミックス・クリエイターズ・ギルド」の解説
1970年代に政治的に活発であった人気作画家ニール・アダムスは、メジャー出版社と権利問題で交渉するため「コミックス・クリエイターズ・ギルド(組合)」を結成しようと試みた。ギルド発足のため1978年5月に開かれた会合には、ケアリー・ベイツ、ハワード・チェイキン、クリス・クレアモント(英語版)、スティーヴ・ディッコ、マイケル・ゴールデン(英語版)、アーチー・グッドウィン(英語版)、ポール・レヴィッツ(英語版)、ボブ・マクラウド、フランク・ミラー、カール・ポッツ(英語版)、マーシャル・ロジャーズ(英語版)、ジム・シューター(英語版)、ウォルト・サイモンソン(英語版)、ジム・スターリン(英語版)、レン・ウェイン(英語版)、マーヴ・ウルフマン(英語版) ら50名ほどが出席した。会合ではギルド成員が出版社と取り交わすための契約書が作成され、以下のような条件が取り入れられた:27。 クリエイターが受け取る報酬は、北米における一次利用を許諾する対価であること。二次的な出版には別途報酬が支払われること。 スクリプトと原画は作者の所有物であり、刊行後に返却されること。 作品の商品化にはクリエイターの許可を要すること。 しかしアダムスはクリエイターたちを結束させることができず、ギルドは実効的な影響力を持つことがないまま1年で活動を休止した。実体のある著作物(原画やスクリプト)を作成するペンシラーやライターと、出版社に雇用されるインカーやレタラーが職務著作の問題で共闘しづらかったことも障害となった。 ギルドの契約書では、大手出版社のライセンシング事業が好調であったことを受けてそれまでより大幅に高い報酬額が推奨された。 アートワーク ― ページ当たり300ドル スクリプト ― 同100ドル レタリング ― 同40ドル カラーリング ― 同70ドル 国外における出版権の対価は上記の25%、再版に関する対価は50%とされていた:23(1978年当時のドルの購買力は2019年現在の4倍)。 この報酬水準は非現実的なもので、後年まで実際に達成できたのはごく例外的なクリエイターにとどまった。クリス・クレアモントは1987年にアーティストの原稿料はページあたり25-60ドルにすぎないと証言している。コミックの再版に関するロイヤルティは1980年代になってから各社で導入され始めた。
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