トポロジカルな障害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/06 03:07 UTC 版)
球体の内部内部の場の拡張は一意的ではなく、拡張とは独立であるという物理的要請より、レベルと呼ばれる結合パラメータ k について量子化条件を導入することとなる。γ の球体の内部への異なった 2つの拡張を考える。これらは平坦な 3次元空間からリー群 G への写像である。ここでこれらの 2つの球を境界 S 2 {\displaystyle S^{2}} で互いに貼り合わせることを考える。貼り合わせの結果はトポロジカルな3-球となり、各々の球体 B 3 {\displaystyle B^{3}} は S 3 {\displaystyle S^{3}} の半球である。γ のそれぞれの球体上での 2つの異なる拡張は、写像 S 3 → G {\displaystyle S^{3}\rightarrow G} となる。しかし、任意のコンパクトな単連結なリー群 G に対して、ホモトピー群 π3(G) = Zである。 このようにして、 S W Z ( γ ) = S W Z ( γ ′ ) + n , {\displaystyle S^{\mathrm {WZ} }(\gamma )=S^{\mathrm {WZ} }(\gamma ')+n~,} を得る。ここに γ と γ' は 2つの異なる球体上への拡張を表し、n は整数で互いに貼り合わせたときの巻き付き数を表す。 もし、 exp ( i 2 π k S W Z ( γ ) ) = exp ( i 2 π k S W Z ( γ ′ ) ) . {\displaystyle \exp \left(i2\pi kS^{\mathrm {WZ} }(\gamma )\right)=\exp \left(i2\pi kS^{\mathrm {WZ} }(\gamma ')\right).} であれば、これらのモデルの導く物理が同じでなるはずである。このようにしてトポロジカルな考えは、レベル k は G がコンパクトな単連結な単準リー群のときには整数であるはずであるという結論を導く。半単純、もしくは非連結なコンパクトリー群に対しては、各々の連結で単純な成分ごとに整数のレベルがある。 このトポロジカルな障害はまた、理論のアフィンリー代数の対称性の表現論ともみなすことができる。各々のレベルが正の整数の場合に、アフィンリー代数はある絶対的な整数の最高ウェイトであるユニタリな表現論を持つ。そのような表現は、各々の単純ルートではられる部分代数に関して、有限次元の部分代数へ分解し、対応する負のルートとその交換子は、カルタンの生成子を形成する。 SL(2,R) のような非コンパクトな単純リー群 G についての WZWモデルに興味が向き、これらはジュアン・マルダセーナ(Juan Maldacena)や大栗博司(Hirosi Ooguri)により 3次元の反ド・ジッター空間上の弦理論を記述することに使われた。 これは群 SL(2,R) の普遍被覆である。この場合には、π3(SL(2,R)) = 0 となるので、トポロジカルな障害はなく、レベルは整数となるとは限らない。対応して、そのような非コンパクトなリー群の表現論はこれらのコンパクトな部分よりも豊かな内容を持つ。
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