擬リーマン多様体の性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/27 02:53 UTC 版)
「擬リーマン多様体」の記事における「擬リーマン多様体の性質」の解説
ユークリッド空間 R n {\displaystyle \mathbb {R} ^{n}} がリーマン多様体のモデルと考えることができるように、平坦なミンコフスキー計量をもつミンコフスキー空間 R n − 1 , 1 {\displaystyle \mathbb {R} ^{n-1,1}} は、ローレンツ多様体のモデルである。同様にして、符号 (p, q) の擬リーマン多様体のモデル空間は、 R p , q {\displaystyle \mathbb {R} ^{p,q}} であり、その計量は、 g = d x 1 2 + ⋯ + d x p 2 − d x p + 1 2 − ⋯ − d x p + q 2 {\displaystyle g=dx_{1}^{2}+\cdots +dx_{p}^{2}-dx_{p+1}^{2}-\cdots -dx_{p+q}^{2}} である。 リーマン幾何学の基本的な定理は、擬リーマン的である場合に一般化することができる。特に、リーマン幾何学の基本定理は、擬リーマン多様体に対しても同様に成立する。このことは、付随する曲率テンソルに沿った擬リーマン多様体上のレヴィ・チヴィタ接続について語ることを可能とする。他方、リーマン幾何学の定理で一般の場合には成り立たない定理も多く存在する。たとえば、すべての滑らかな多様体は与えられた符号をもつ擬リーマン計量とすることができるは成立しない。この場合には、あるトポロジカルな障害が存在する。さらに、(擬リーマン多様体の)部分多様体が常に、擬リーマン多様体の構造を引き継ぐわけではない。たとえば、計量テンソルは、任意の光的な曲線上の計量テンソルは 0 となる。クリフトン・ポールのトーラス(英語版)(Clifton–Pohl torus)は、コンパクトであるが完備ではない擬リーマン多様体の例をもたらした。完備でないということは、リーマン多様体の上では成立するホップ・リノーの定理(英語版)は擬リーマン多様体の上では成立しない。
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