デカップリング回路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/13 14:23 UTC 版)
複数の増幅素子を有する増幅回路では、終段増幅素子の消費電流(出力)の変化により電源ラインに電圧降下が発生し、それが前段増幅素子に伝わって発振を引き起こすことがある。その防止のため、電源ラインに抵抗器またはインダクタを挿入し、各増幅段の電源と並列に最短距離でコンデンサを接続する。これをデカップリング回路と呼ぶ。デジタル回路では、各集積回路の電源端子(ピン)と並列に積層セラミックコンデンサなど周波数特性の良いコンデンサを接続して用いることが原則である。 デジタル回路はリセットの瞬間、全てのゲートが同時に状態遷移し、大電流が流れる。デカップリング回路がないか十分ではない場合、このとき電圧降下が発生する。バイポーラ素子を使った回路において、入力信号が電源電圧を上回るとラッチアップと呼ばれる短絡が発生し、素子を破壊するおそれがある。絶縁層を持つCMOS回路においては寄生トランジスタがないのでラッチアップは起きないが、入力段を保護しているダイオードが降伏してしまい短絡することがある。 近年の高性能CPUは電源要求が厳しく、リセットの瞬間に100Aを超える大電流が流れる製品も少なくない。基板には大量のデカップリング用コンデンサを配し、CPUパッケージ上にも数十個の積層セラミックコンデンサを取り付けている。CPUは大量の熱を発するが、この熱がこもりデカップリング用コンデンサーを加熱して寿命を縮め、ひいては容量抜けによって設計外の場所に大電流が流れて装置を破壊してしまうことがある。対策としては、マザーボード上のコンデンサがエアフロー上適切な位置に配置されている製品を選ぶ、装置内部に熱がこもらないように設計された筐体を選ぶことである。
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