ダグラス B-66とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ダグラス B-66の意味・解説 

B-66 (航空機)

(ダグラス B-66 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/29 15:57 UTC 版)

B-66 デストロイヤー

飛行するB-66B-DL 53-0482号機
(1960年代撮影)

B-66 デストロイヤーDouglas B-66 Destroyer )は、アメリカ合衆国ダグラス社が開発しアメリカ空軍に運用された戦術爆撃機

軽爆撃機および偵察機として運用された。愛称の「デストロイヤー(Destroyer)」は、破壊者の意。アメリカ海軍で運用されたA3D艦上攻撃機を基に空軍用に改設計したものである。

概要

1951年にアメリカ空軍は、B-26などの戦術爆撃機の後継機を求め、各社に提案を要求した。その中で、ダグラス社が開発中であったXA3D-1の改修案が選定され1952年より開発が開始された。A3Dは海軍機としては大型機の扱いであるが、空軍機としては「軽爆撃機」であった。

エンジンは左右の主翼下にパイロンで1基ずつ装備されている。主翼は高翼配置であり、後退角を持っていた。

偵察機型の開発が優先され、はじめにRB-66Aの開発が行われた。開発当初は、A3Dより艦載機用装備(着艦拘束機材やカタパルトワイヤー、主翼折りたたみ機構など)の取り外しのみの予定であった。海軍向けのA3Dは高空作戦用の機体であったが、空軍が低空飛行用に改修することを求めたため、より大規模な改修が行われることとなった。主翼断面の再検討をはじめとして、射出座席の装備、油圧系統や照準装置および防御機銃の変更、空中給油装置の付加などである。エンジンもJ57からJ71に換装された。

RB-66Aは5機が製造され、1954年に初飛行した。しかし飛行性能に問題があったため、量産は行われず試験機の扱いになった。初の量産型はRB-66Bであり、照明弾を搭載し夜間偵察任務につけられている。爆撃機型のB-66Bは1955年に初飛行し、1956年から配備についた。

その後F-105のような搭載量の大きい戦闘爆撃機の登場によって、アメリカ空軍において軽爆撃機は不要とみなされるようになり、1962年には退役した。しかしB-66はA3D同様、機体規模に余裕のある設計であったことから電子戦機や気象偵察機にも転用され、電子戦機型はベトナム戦争にも投入され、1973年まで運用された。

なお航空自衛隊の創設期には、アメリカ側がB-47または本機の供与を打診し、日本側が本機を希望したものの、政治的配慮から結局供与が取り下げられたという経緯もあった[3][4][注 1]

派生型

RB-66A
偵察機型。実質は試作機。5機製造。
RB-66B
偵察機型。145機製造。
B-66B
爆撃機型。72機製造。
EB-66B
電子戦機型。B-66Bより13機改造。
RB-66C
電子戦/電子偵察機型。36機製造。オペレーター4名搭乗。
EB-66C
RB-66Cの名称変更。
WB-66D
気象偵察機型。36機製造。オペレーター2名搭乗。
EB-66E
電子戦機型。RB-66Bより52機改造。

諸元

B-66B-DL
  • 全長:22.9m
  • 全幅:22.1m
  • 全高:7.2m
  • エンジン:アリソン J-71 ターボジェット(推力:45 kN)2基
  • 最大速度:982km/h
  • 乗員:3名(操縦手、航法手、機銃手)
  • 武装:20mm機銃 2門、爆弾など6.8t(6,803.9 kg)

現存する機体

参考 [6]

型名     番号    機体写真     国名 所有者 公開状況 状態 備考
RB-66B-DL 53-0466
44347
[注 2] アメリカ テキサス州 ダイエス・リニア航空公園[注 3]
(Dyess Linear Air Park)
公開 静態展示 [注 4]
RB-66B-DL 53-0475 アメリカ オハイオ州 国立アメリカ空軍博物館[注 5] 公開 静態展示 [注 6]
RB-66C-DL 54-0465 [注 7] アメリカ サウスカロライナ州 ショウ空軍基地[注 8] 公開 静態展示 [注 9]
WB-66D-DL 55-0390 アメリカ テキサス州 空軍航空兵遺産博物館[注 10] 公開 静態展示 [注 11]
WB-66D-DL 55-0392 アメリカ ジョージア州 ミュージアム・オブ・エイヴィエーション[注 12] 公開 静態展示 [注 13]
WB-66D-DL 55-0395 アメリカ アリゾナ州 ピマ航空宇宙博物館[注 14] 公開 静態展示 [注 15]

脚注

注釈

  1. ^ 海上自衛隊でも、本機の原型にあたるA3Dの装備を検討したが、MAP供与の見込みがないことなどから実現に至らなかったという経緯があった[5]
  2. ^ 写真
  3. ^ [1]
  4. ^ [2]
  5. ^ [3]
  6. ^ [4]
  7. ^ 写真
  8. ^ [5]
  9. ^ [6]
  10. ^ [7]
  11. ^ [8]
  12. ^ [9]
  13. ^ [10]
  14. ^ [11]
  15. ^ [12]

出典

  1. ^ "Douglas B-66 Destroyer." Archived November 16, 2007, at the Wayback Machine. National Museum of the United States Air Force. Retrieved: 5 August 2010.
  2. ^ Knaack, Marcelle Size. Post-World War II Bombers, 1945-1973. Washington, DC: Office of Air Force History, 1988. ISBN 0-16-002260-6.
  3. ^ 航空幕僚監部 2006, pp. 46–53.
  4. ^ 航空幕僚監部 2006, pp. 65–72.
  5. ^ 海上幕僚監部 2003, ch.1 §2.
  6. ^ 全機体リスト

参考文献

関連項目

外部リンク


「ダグラス B-66」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ダグラス B-66」の関連用語

ダグラス B-66のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ダグラス B-66のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのB-66 (航空機) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS