B-18_(航空機)とは? わかりやすく解説

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B-18 (航空機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/17 10:14 UTC 版)

ダグラス B-18 ボロ

飛行するB-18 (第88偵察飛行隊所属、撮影年不詳)

ダグラス B-18 ボロDouglas B-18 Bolo )は、ダグラス社が開発し、アメリカ陸軍航空隊で運用された爆撃機

ダグラス社の社内コードはDB-1[1]。愛称の「ボロ(Bolo)」は、「フィリピンの片刃の刀」の意[1]

概要

機体は民間向けのDC-2の主・尾翼を流用し、胴体を爆撃機仕様に再設計したもので、1935年に初飛行した[1][2]。開発コストの低さゆえ、機体価格も安価となり、アメリカ陸軍は131機の採用に踏み切った。これは、当時としては異例の数である。

機体に爆弾倉を設けたため、胴体下部が膨らみ、主翼はDC-2の低翼配置から 中翼配置となった。爆撃照準のために機首がガラス張りとなっている。また、防御兵装として、機首及び胴体後部の上下に銃座が設けられている。双発機であり、左右主翼に各1基ずつレシプロエンジンを装備している。

試作機DB-1は1935年4月に初飛行し、ボーイング社のモデル299(後のB-17)やマーチン社のモデル146(B-10の改良型)と同時に評価試験を受けた[1][2][3]。モデル299は性能が期待されたが、高価であり、試作機が墜落したこともあり、DB-1がB-18として採用され131機が発注された[1]。1937年より部隊配備が開始されている。

1930年代アメリカ軍の主力爆撃機になりえたのは、B-18が$63,977とライバルに比べ安価であったためであるが、第二次世界大戦が始まる頃には、とても実戦に投入できる性能ではなかった。開戦時にはハワイに33機、フィリピンに18機が配備されていたものの、日本軍の航空攻撃により地上で大多数が撃破された[1]。さらに日本軍は数機を鹵獲したものの、性能の低さから活用することはなかった。

爆撃機としては性能では充分ではなかったが、同時期に大西洋ではUボートによる損害が激増していたため、B-18は対潜哨戒機に改造された。対潜哨戒機に改造されたB-18は、尾部にMADブームを取りつけていた。しかし、対潜哨戒機に改造されたB-18も、1943年には一線を退き以後は練習機輸送機として使用され、戦後に何機かは民間に払下げられた。

各型

B-18B
DB-1
試作機。1機製造。
B-18
初期量産型[1]。131機発注[1]
B-18M
爆撃兵装を降ろした練習機型。
DB-2
機首に動力銃塔を装備した試作機。B-18の最終量産機より変更。1機製造。
B-18A
エンジンをライト R-1820-53に換装[1]。爆撃手の配置を機首下部銃座の上に変更[3]。217機発注[1]
B-18AM
練習機型[1]
B-18B
対潜哨戒機型[3]。122機改装、捜索レーダーやMADなどを搭載。[4]
B-18C
対潜哨戒機型、2機改装。機首に前方向け機銃を装備。
XB-22
エンジンをライト R-2600-3に換装。計画のみ。[5]
C-58
輸送機型。
ディグビー I(Digby I)
B-18Aのカナダ空軍向け機体。

要目(B-18A)

  • 乗員:6名[1]
  • 全長:17.63m[1]
  • 全幅:27.28m[1]
  • 全高:4.62m[1]
  • 自重:7,403kg[1]
  • 全備重量:10,886kg(正規)[1]
  • エンジン:ライト R-1820-53 レシプロエンジン 2基(1,000馬力)[1]
  • 最大速度:348km/h[1]
  • 航続距離:1,450km(正規)[1]
  • 武装:7.62mm機銃×3、爆弾1,810kg[2]

現存する機体

型名     番号    機体写真     国名 所有者 公開状況 状態 備考
B-18-DO 36-446
1747
写真 アメリカ ハワイ州 コハラ山脈(Kohala Mountains)山腹 公開 放置 1941年2月25日に着陸に失敗して不時着した。搭乗員は全員救助されたが、機体は現在まで放置されている。空軍が後で別地区から回収した他機[6]とともに復元する話が持ち上がっている。
B-18-DO 37-029
1776
アメリカ カリフォルニア州 キャッスル航空博物館[1] 公開 静態展示 [2]
B-18A-DO 37-469
2469
アメリカ オハイオ州 国立アメリカ空軍博物館 公開 静態展示 [3]
B-18A-DO 39-025
2673
アメリカ コロラド州 ウィングス・オーヴァー・ザ・ロッキーズ航空宇宙博物館 公開 静態展示 39-522の塗装で展示されている。[4]
B-18B-DO 37-505
2505
アメリカ ワシントン州 マコード航空博物館 (マコード空軍基地隣接) 公開 静態展示 [5]
B-18B-DO 38-593
2593
アメリカ アリゾナ州 ピマ航空宇宙博物館 公開 静態展示 [6]

登場作品

漫画・アニメ

『バニーの大墜落』
グレムリンが逃げた先で、そのまま飛行させる機体として登場

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 野原 2024, p. 52.
  2. ^ a b c d e 神奈川ほか 2022, p. 231.
  3. ^ a b c Douglas B-18 Bolo”. 国立アメリカ空軍博物館. 2025年4月17日閲覧。
  4. ^ "B-18B." National Museum of the USAF. Retrieved: 17 May 2010.
  5. ^ "XB-22." National Museum of the USAF. Retrieved: 17 May 2010.
  6. ^ 37-029の機首部と37-469の後部胴体。

関連項目

参考文献

  • 神奈川憲ほか『最新版 世界の軍用機図鑑』コスミック出版、2022年1月24日。ISBN 978-4-7747-4067-6 
  • 野原茂『アメリカ陸軍機事典1908-1945』イカロス出版、2024年9月15日。 ISBN 978-4802214896 
  • 第二次大戦米陸軍機全集 航空ファンイラストレイテッドNo.74 文林堂 1994年 P83

外部リンク




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