タンパク質構造予測の戦略
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 21:10 UTC 版)
「de novoタンパク質構造予測」の記事における「タンパク質構造予測の戦略」の解説
既知の三次構造を持つタンパク質が、構造未決定の潜在的な相同体と少なくとも30%の配列を共有している場合、未知の推定構造と既知の構造を重ね合わせる比較方法を利用して、未知の可能性のある構造を予測することができる。しかし、この閾値以下では、初期モデルから可能な構造を決定するために、他の3つのクラスの戦略が使用される。すなわち、ab initioタンパク質予測、フォールド認識、およびスレッディングである。 ab initio法:ab initio(第一原理)法では、物理化学的パラメータとニューラルネットアルゴリズムを用いて、一次構造から二次構造(αヘリックス、βシート、βターンなど)を解明する試みが最初に行われる。その先は、アルゴリズムによって三次構造の折りたたみが予測される。この戦略の1つの欠点は、アミノ酸の側鎖の位置や向きを取り込むことがまだできないことである。 フォールド認識: フォールド認識戦略では、最初に二次構造を予測し、CATHやSCOPなど既知のタンパク質折りたたみのライブラリ、または可能な二次構造形態の「周期表」と呼ばれているものと比較する。次に、マッチする可能性のあるものに信頼度スコアが割り当てられる。 スレッディング: スレッディング戦略では、前記フォールディング認識技術をさらに発展させる。このプロセスでは、残基ペアの相互作用に対する経験に基づくエネルギー関数を使用して、未知のタンパク質を推定上の主鎖上に最適な形で配置し、必要に応じてギャップを調整する。次に、最適な相互作用を強調することで、潜在的なデコイを識別し、最も可能性の高いコンフォメーションを予測することができる。 フォールド戦略とスレッディング戦略の目的は、未知のタンパク質の折りたたみが、蛋白質構造データバンク(PDB)などのデータベースに登録されている既知のタンパク質のドメインに類似しているかどうかを確認することである。これは、タンパク質の折りたたみをデータベースの構造と比較する代わりに、物理ベースのアプローチで構造を決定するab initio法とは対照的である。
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