タテシマフエフキとは? わかりやすく解説

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タテシマフエフキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/20 23:18 UTC 版)

タテシマフエフキ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: タイ目 Spariformes
: フエフキダイ科 Lethrinidae
: フエフキダイ属 Lethrinus
: タテシマフエフキ L. obsoletus
学名
Lethrinus obsoletus
(Forsskål, 1775)[2]
シノニム[3]
  • Sciaena obsoleta Forsskål, 1775
  • Sciaena ramak Forsskål, 1775
  • Lethrinus ramak (Forsskål, 1775)
  • Lethrinus cutambi Seale, 1910

タテシマフエフキ(学名:Lethrinus obsoletus)は、フエフキダイ科に分類される魚類の一種。インド太平洋に分布し、岩礁サンゴ礁に生息する。全長は大きくても60cmほどで、体側面を通る橙色の縦帯が特徴である。

分類と名称

1775年にフィンランド博物学者であるペール・フォルスコールによって、Sciaena obsoleta として記載された。タイプ産地は紅海と推定される[4]フエフキダイ属単型のフエフキダイ亜科の下に置く見解もある。『Fishes of the World』第5版ではフエフキダイ科に亜科を認めず、従来のスズキ目からタイ目に分類している[5]

種小名は「すり減った」という意味で、体側面の薄い縞模様を指していると考えられる[6]。沖縄ではクサムルーと呼ばれる[7]。orange-striped emperor、yellow-banded emperor、yellowstripe emperorといった英名がある。

形態

背鰭は10棘と9軟条から、臀鰭は2棘と8軟条から成る[3]。体長は体高の2.4-2.8倍。頭部背面の輪郭は眼の上で盛り上がる[8]。顎の両側には、丸または円錐形の歯がある。胸鰭基部の内側は鱗で覆われる[9]。体色は黄褐色から緑褐色で、胸鰭基部から尾柄にかけて、橙色の太い縦帯が入る。その上には淡い橙色の縦帯が2本入る。頭部には幅広く淡い帯が複数入り、目の下には白い斑点が入ることもある。鰭は白から黄褐色で、斑点が入ることもある[10]。全長は通常30cm、最大で60cm[3]

分布と生息地

紅海南部から南アフリカのソドワナ湾まで、東アフリカの海岸沿いに分布する[9]。北は琉球諸島、東はトンガサモアまで、インド洋西太平洋に広く分布する[1]。日本では琉球諸島で見られ、八重山諸島に多い[7]オーストラリア海域では、西オーストラリア州沖のローリー礁、スコット礁、アシュモア・カルティエ諸島ココス諸島ティモール海クイーンズランド州沖のグレート・バリア・リーフ北部に分布する[10]海草藻場ラグーンサンゴ礁砂地礫地に生息する。幼魚は藻場を好み、成長するとサンゴ礁に移動する。生息水深は30mまで[10]

生態

主に甲殻類軟体動物棘皮動物を捕食する[3]雌性先熟雌雄同体[10]パラオでは11月から4月にかけ、毎月新月前の5日間に産卵する[8]。八重山諸島では4月から10月にかけて産卵する。雌は全長22cmで性成熟し、寿命は20年を超える[7]

人との関わり

商業的に主要な種ではなく、主にかご網や地引網で漁獲され、刺し網釣りトロール網でも漁獲される。鮮魚として流通することが多い[1]。日本では沖縄県で食用とされるが、漁獲量が少ないためやや高価である[11]

出典

  1. ^ a b c Carpenter, K.E.; Lawrence, A.; Myers, R. (2016). Lethrinus obsoletus. IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T16720267A16722420. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T16720267A16722420.en. https://www.iucnredlist.org/species/16720267/16722420 2025年9月19日閲覧。. 
  2. ^ Nicolas Bailly (2008). “Lethrinus obsoletus (Forsskål, 1775)”. World Register of Marine Species. 2025年9月19日閲覧.
  3. ^ a b c d Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2023). "Lethrinus obsoletus" in FishBase. October 2023 version.
  4. ^ CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Lethrinus”. researcharchive.calacademy.org. 2025年9月20日閲覧。
  5. ^ Nelson, J.S.; Grande, T.C.; Wilson, M.V.H. (2016). Fishes of the World (5th ed.). Hoboken, NJ: John Wiley & Sons. pp. 502–506. doi:10.1002/9781119174844. ISBN 978-1-118-34233-6. LCCN 2015-37522. OCLC 951899884. OL 25909650M 
  6. ^ Order ACANTHURIFORMES (part 6): Families GERREIDAE, LETHRINIDAE, NEMIPTERIDAE and SPARIDAE”. The ETYFish Project (2024年1月12日). 2025年9月20日閲覧。
  7. ^ a b c 下瀬環 (2018)「タテシマフエフキ」中坊徹次(編/監修)『小学館の図鑑Z 日本魚類館』pp.290-291、小学館、ISBN 978-4-09-208311-0
  8. ^ a b Kent E. Carpenter; Gerald R. Allen (1989). Emperor fishes and large-eye breams of the world (Family Lethrinidae). An annotated and illustrated catalogue of lethrinid species known to date. FAO Species Catalogue. 9. FAO, Rome. pp. 77–78. https://www.fao.org/4/t0242e/t0242e00.htm 
  9. ^ a b Kent E. Carpenter (2022). “Family Lethrinidae”. In Phillip C Heemstra; Elaine Heemstra; David A Ebert et al.. Coastal Fishes of the Western Indian Ocean. 3. South African Institute for Aquatic Biodiversity. pp. 316–327. ISBN 978-1-990951-32-9. https://saiab.ac.za/wp-content/uploads/2022/11/1._wiof_volume_3_text.pdf 
  10. ^ a b c d Lethrinus obsoletus”. Fishes of Australia. Museums Victoria. 2025年9月20日閲覧。
  11. ^ タテシマフエフキ | 魚類 | 市場魚貝類図鑑”. ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑. 2025年9月20日閲覧。

関連項目




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