ゾロアスター教の鳥葬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 05:21 UTC 版)
ゾロアスター教では、死体は悪魔の住処とされる。葬式は悪魔による汚濁の源を浄化するための儀礼であった。ゾロアスター教においては、火を善神の象徴として崇拝しており、悪魔の住み処たる死体によって火が穢されるのを避ける。そのため火葬は行われず、同様の理由で土葬や水葬もない。サーサーン朝ペルシア時代のゾロアスター教社会では、死体は路傍に放置されハゲワシに食われるか、直射日光で乾燥して骨だけになった後にダフマと呼ばれる磨崖穴に入れられる曝葬(ばくそう、風葬と同じ)が行われていた。 インドに流入したゾロアスター教の教徒(パールスィー)もその伝統を受け継いだが、イラン高原と異なり湿潤なインドでは死体が乾燥する前に腐乱してしまうため、磨崖穴にちなんでダフマと名付けられた鳥葬専用の施設を使用している。英語で沈黙の塔と呼ばれるタワー型のダフマは、古代ローマのコロッセウムにも似た開口部のある円筒状の塔であり、その上に置かれた死体は鳥がついばんで骨となり、骨は陽光によって漂白される。そして最終的には土に還るというわけである。その際、すみやかに骨のみになるとよいとされる。 葬儀は亡くなったその日に行われるのが良いとされるが、日没後には行われない。遺体は金属製の台に乗せられ、ダフマの近くまで葬列を組んで送られる。遺族はダフマの近くで最後の別れを行い、遺体運搬人によるダフマへの行進を見届けた後、身を清めて没後3日間死者のための儀式を行う。 ダフマはインドのムンバイに2基、ナヴサーリーに2基あるほか、インド亜大陸のパールスィー居住区では数多く見ることが出来る。
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