セム系文字
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 15:04 UTC 版)
エジプトの青銅器時代中期の文字体系は、いまだ完全に解読されていない。とはいえ、これらの文字体系は、少なくとも部分的に(おそらく完全に)音素的な文字体系のようである。最古の例は、エジプト中部で見つかった紀元前1800年頃のグラフィティ(落書き)(en)である。このセム系文字は、エジプト語の子音記号にとどまらず、ほかのエジプトヒエログリフもいくつか採り入れていて、おそらく全部で30文字ほどになる。また、字にセム語の呼び名がついている。例を挙げると、ヒエログリフのper(エジプト語で「家」)がbayt(セム語で「家」)となっている。ただ、これでセム語を表記するときに、それぞれの字形が頭音法の原則によって呼び名の最初の子音だけを表す純粋に音素的な文字体系であったのか、または祖先のヒエログリフのように複数の子音の連なりやさらには語をも表すことがあったのか、については、はっきりしていない。例えば、「家」の字形で b だけを表していた(beyt「家」の b)のかもしれないし、子音 b と子音の連なり byt の両方を表せた(エジプト語でこの字形が p と pr の両方を表し得たように)のかもしれない。ともあれ、この文字体系からカナンの文字体系が派生する過程で、もっぱら音素だけを表すものとなり、もともと「家」を表していたヒエログリフが b だけを表すものとなった。
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