ステムグループの例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 09:18 UTC 版)
「クラウングループ」の記事における「ステムグループの例」の解説
ステム鳥類(Stem birds)は、系統関係がかなりよく知られていることもあり、ステムグループとしてはおそらく最も用例が多い。以下の系統樹はベントン(2005)に基づく。 主竜類 ワニ形上目 MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM ワニ目 Avemetatarsalia 翼竜 恐竜 鳥盤類 装盾亜目 剣竜類 鳥脚類 ハドロサウルス科 竜盤類 竜脚下目 獣脚類 ティラノサウルス科 鳥綱 始祖鳥 新鳥類 古顎類 (絶滅種モアを含む) 新顎類 (絶滅種ドードーを含む) ※翼竜から始祖鳥までのグループが「鳥類のステムグループ」。古顎類と新顎類のグループが「鳥類のクラウングループ」。 ここでのクラウングループは新鳥類であり、現代のあらゆる鳥の系統は彼らの最も新しい共通祖先に遡る。鳥の最も近い現生生物はワニ目である。系統樹を新鳥類から左にたどると、ワニ目と合流するまでの全ての枝がステム鳥類に属する。ここには始祖鳥、ヘスペロルニス、孔子鳥のようなクラウングループ外の原始鳥類に加えて、恐竜と翼竜が含まれる。鳥とワニ目の最も新しい共通祖先(ここから派生するクラウングループは主竜類に相当する)は、鳥とワニいずれの特徴も有していなかった。鳥類のステムグループが進化するにつれて、羽や含気骨(または中空骨)といった鳥ならではの特徴が現れた。ステムグループの末端部からクラウングループの基部に移行した段階では、現生する鳥類に共通する全ての特徴が存在していた。 ステム哺乳綱(Stem mammals)は現生する哺乳類につながる系統で、竜弓類と分岐してから現生哺乳類の最も新しい共通祖先に至るまでの系統と、そこから分岐する枝をまとめたものとなる。このグループには単弓類に加え、モルガヌコドン目や梁歯目のような哺乳形類が含まれている。哺乳形類は哺乳類のクラウングループ外ではあるが、伝統的には解剖学的な観点から哺乳類とみなされている。 ステム四肢動物(英語版)(Stem Tetrapoda)は、魚類側で最も近縁な種である肺魚と分岐してから四肢動物につながる系統に属する動物である。ここには肉鰭綱の一部に加えて、初期の迷歯亜綱の一部も含まれる。初期の四肢動物の系統関係は十分に分かっていないため、四肢動物のステムグループ内の迷歯亜綱にどの生物が含まれるのかは、正確には不明瞭である。これは、系統に関する定説が得られていない場合、クラウングループとステムグループを定義することの意義が限定的になることを表す一例である。 ステム節足動物(Stem arthropods)は、カンブリア紀のバージェス動物群とシリウスパセット動物群で見つかる古生物をはじめとして注目されているグループである。パンブデルリオン、ケリグマケラ、オパビニアとラディオドンタ類(アノマロカリス、フルディアなど)は、節足動物の特徴の一部を有しており、ステム節足動物と考えられている。これらの古生物を節足動物のステムグループに分類することで系統的な議論が可能になり、例えば節足動物の複眼と先頭の外骨格は胴部の外骨格より早期に起源することや、節足動物は緩歩動物(クマムシ)や有爪動物(カギムシ)と同様に葉足動物から派生するという系統仮説がこれで有力視されるようになった。 ステム鰓曳動物(Stem priapulids)は、初期カンブリア紀から中期のカンブリア紀の他の動物群で、澄江動物群やバージェス動物群で見つかっている。オットイアは現代の鰓曳動物とほぼ同じ構造をしているが、系統解析ではクラウングループ外となり、ステム鰓曳動物と考えられる。
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