シアン分解プロセス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/18 14:40 UTC 版)
金製錬プラントからの廃水にはシアンが残っており潜在的な危険がある。そのため、シアンを含む廃水を無毒化する工程が設けられている。この工程はシアンの濃度を低下させるものである。シアンを、より毒性が弱く、炭酸イオンとアンモニウムイオンへと加水分解するシアン酸へと酸化させる方法として、INCOがライセンスする方法と過硫酸(別名、カロ酸; H2SO5)を利用する方法がある。他にも過酸化水素による酸化分解法やアルカリ塩素法があるが、あまり一般的ではない。 CN − + [ O ] ⟶ OCN − {\displaystyle {\ce {CN- + [O] -> OCN-}}} OCN − + 2 H 2 O ⟶ HCO 3 − + NH 3 {\displaystyle {\ce {OCN- + 2 H2O -> HCO3- + NH3}}} INCOの方法では、SO2と空気でシアンをシアン酸へと変えている。典型的には、石灰を使ってpHを約8.5に保ちつつSO2を発生させるピロ亜硫酸ナトリウムを鉱滓に加え、圧縮空気を吹き込むことにより、鉱滓ダムへ排出する前にシアンを大幅に毒性の弱いシアン酸へと変えている。鉱石から充分に銅が浸出できない場合には触媒として硫酸銅を添加する。シアン濃度を典型的には50 (mg/L)以下に下げることができ、世界中で90以上の鉱山でこの方法が現在採用されている。また、WADシアンをEUのMining Waste Directiveで認められる10pmm以下の濃度にすることができる。バヤ・マレの鉱滓ダムでは、遊離シアン濃度は66〜81ppm、全シアン濃度は500〜1000ppmである。 一方、過硫酸を利用する方法では10〜50 (mg/L)の水準に下げることができる。過硫酸はシアンをシアン酸に変化させる。過硫酸を利用する方法では、WAD (Weak Acid Dissociable)シアンを鉱滓ダムへ排出できる50 (mg/L)以下にすることができる。 いずれの場合も、鉱滓ダムでは遊離シアンはシアン酸となり、さらに加水分解してアンモニウムイオンとなる。研究によると、金鉱山の鉱滓中の残留シアンは、水銀といった有毒な金属を地下水系や表層水系へと継続的に放出させる。
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