サブバンド間 vs. バンド間遷移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/17 07:06 UTC 版)
「量子カスケードレーザー」の記事における「サブバンド間 vs. バンド間遷移」の解説
バルク半導体結晶内では、電子は低エネルギーの電子が集中している価電子帯と、高エネルギーの電子がまばらに分布している伝導帯の2つの連続的なエネルギーバンドの1つで状態を占めることがある。2つのエネルギーバンドは電子が占有できる状態が存在しないエネルギーバンドギャップにより分離される。従来の半導体レーザーダイオードは伝導帯の高エネルギー電子が価電子帯の正孔と再結合する際の単一光子の放出により光が発生する。光子のエネルギーつまりレーザーダイオードの発光波長は使用する材料系のバンドギャップにより決まる。 しかし、QCLは光学活性領域におけるバルク半導体材料を用いない。代わりに超格子を形成する様々な材料組成の周期的な一連の薄層からなる。超格子はデバイス長にわたり様々な電位を導入し、これはデバイス長にわたり異なる位置を占める電子の確率が変化することを意味している。これは1次元多重量子井戸閉じ込めと呼ばれ、許容されるエネルギー帯域を多数の離散電子サブバンドに分割する。層の厚さを適切に設計することにより、レーザー放射を達成するために必要とされるシステム内の2つのサブバンド間の反転分布を作ることが可能である。システム内のエネルギー準位の位置は主に材料ではなく層の厚さにより決まるため、QCLの発光波長を同じ材料系で広範囲で調整することが可能である。 さらに半導体レーザーダイオードでは電子および正孔はバンドギャップを横切って再結合した後に消滅し、光子生成においてそれ以上の役割をすることはない。しかし、単極のQCLでは1度電子がサブバンド間遷移を経て超格子の1周期で光子を放出すると、別の光子が放出される次の周期にトンネルすることができる。QCL構造を横切る際に単一の電子が複数の光子を放出させるこの過程によりこの「カスケード」という名前が生まれており、これにより半導体レーザーダイオードよりも高い出力パワーにつながる1より大きい量子効率を可能にする。
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