サイクリンの結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/23 15:45 UTC 版)
「サイクリン依存性キナーゼ」の記事における「サイクリンの結合」の解説
全てのキナーゼの活性部位またはATP結合部位は、小さなN末端ローブと大きなC末端ローブの間の溝に位置している。ヒトのCDK2の構造からは、CDKのATP結合部位がサイクリンの結合によって調節されるよう変化していることが明らかにされた。サイクリンが結合していない場合、活性化ループまたはTループと呼ばれる柔軟なループ領域が溝をふさいでおり、いくつかの重要残基の位置もATPの結合に適さない配置となっている。サイクリンが結合すると、2つのαヘリックスが位置を変え、ATPの結合に適した配置となる。そのうちの1つ、L12ヘリックスは一次配列上Tループの直前に位置しており、βストランドとなることでTループの配置変化を助け、活性部位がふさがれないようにする。もう1つのヘリックスはPSTAIREヘリックスと呼ばれ、位置を変えることで活性部位の主要残基の位置変化を助ける。 どのサイクリンがどのCDKに結合するか関しては、かなりの特異性が存在する。サイクリン/CDK複合体の基質特異性は、サイクリンの側によって主に決定される。サイクリンは基質に直接結合するか、または基質が存在する特定の領域へCDKを局在化させる。S期サイクリン(サイクリンA、E)の基質特異性はMRAIL配列を中心とする疎水性パッチによるもので、疎水的なRXL(またはCy)モチーフを含む基質タンパク質への親和性が獲得されている。サイクリンB1とB2は、CDK結合領域の外側にある局在化配列を介してそれぞれ核とゴルジ体へCDK1を局在させる。
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