コーシー数列
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 04:18 UTC 版)
無限数列 (xn) について lim n , m → ∞ | x n − x m | = 0 {\displaystyle \lim _{n,m\to \infty }|x_{n}-x_{m}|=0} が成り立つとき、数列 (xn) はコーシ-列である(あるいはコーシー的である、コーシー性を持つ)という。有限数列 (x1 ,x2, …, xk) は xk = xk+1 = xk+2 = … と延長することにより、コーシー列と見なせる。 (xn) がコーシー列ならば、開区間 (a, b) で、数列 (xn) の中の無限個の項を含むようなものが取れる。このような開区間は一つではなくいくらでも見つけることができて、しかもその径 |b − a| はいくらでも小さくとることができる。さらに、そのような開区間を、コーシー列の最初の有限項以外の項を全て含むようにとることができる。 同様の性質を座標平面 R2 や座標空間 R3 などの k次元座標空間 Rk あるいはそれと同等の k次元ユークリッド空間 Ek で考えることができる。形式上は上記の極限と同じことで、点列 (xn) が lim n , m → ∞ ‖ x n − x m ‖ = 0 {\displaystyle \lim _{n,m\to \infty }\|{\boldsymbol {x}}_{n}-{\boldsymbol {x}}_{m}\|=0} を満たすことを、数列の場合と同じく点列がコーシー的であるなどという。これは、座標の各成分が全てコーシー数列を成すことと等価である。また、やはり数列の場合と同様に、Rk における点列 (xn) がコーシー性を持つならば、十分大きな番号 n に対応する点 xn は例外なく全て、ある非常に小さな直径を持つ k 次元球体に含まれる。複素数全体の集合 C を座標平面 R2 と同一視してガウス平面と考えれば、複素数列は平面上の点の列であり、複素空間 Ck 内のコーシー列も同様に考えることができる。 一般に、任意の収束列はコーシー列であるが、その一方で、コーシー列は必ずしも収束しない。例えば、ガウス記号 [·] を用いて作った数列 {[n √2]/n}は、有理数の列(Q 内の点列)と見ることも、実数の列(R 内の点列)と見ることもできて、いずれの見方によってもコーシー数列となっているものであるが、R 内の点列と見れば √2 に収束する収束列であるのに対して、√2 は有理数ではないから有理数全体の集合 Q 内で収束することはない。
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