コンテンツの類型化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 21:16 UTC 版)
経済学者の田中秀臣や評論家の宇野常寛らは、2000年代以降の日本のポップカルチャー批評で用いられるコンテンツの類型化をAKB48に当てはめている。 田中は、ファンがメンバーのブログを読みコメントすることは、ファンがメンバーの「小さな私的物語」に自己を接続しようとしている、つまり「セカイ系」的な行動だと指摘した。さらに、選抜総選挙に代表される競争原理は宇野が「ザヴァイヴ系/バトルロワイヤル系」と名付けた2000年代に特有の時代意識を反映したもので、AKB48にはセカイ系とサヴァイヴ系の両方の要素があると指摘した。 宇野は、AKB48のメンバーがAKB48という大きなゲームのプレイヤーとして動員されるという意味では、AKB48は「バトルロワイヤル系」の代表例、つまり「大きな物語」(社会全体に共有される価値観)が崩壊したポストモダンの社会において「大きな物語」の代替として「大きなゲーム」を利用するメカニズムに当てはまると主張している。 一方、宇野は、女性のみからなるコミュニティであるAKB48は「空気系」の特徴も持つと主張している。AKB48というコミュニティの内部では、メンバー間の親密な交友関係(擬似同性愛的な関係)を匂わせることがブログなどを通じて事実上の男性ファンへのサービスとして行われたり、メンバーが出演するテレビドラマに同性愛関係を読み込んだ同人誌が(女性ファンによって)コミックマーケットで売買されたりするが、これらは空気系作品の二次創作的な受容と類似したところがあるという。しかし同時に、前述の競争原理の導入によって、空気系にありがちな予定調和を効果的に破壊している面もあると指摘している。
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