ゲール民族の伝承
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/30 23:07 UTC 版)
かつて、また今もなお、この祭りは暖炉と家庭の祭であり、日が長くなって、春の兆しが感じられるのを祝うものである。祝いには、暖炉の火と特別な食べ物(バター、牛乳、バノック)が用意され、今後の縁起を占うために、ろうそくの火や、天候が良ければ焚き火が用いられる。 インボルクは伝統的に天候を占う日でもあり、蛇やアナグマが穴から出て来るのを見守るという古い言い伝えは、北アメリカのグラウンドホッグデー(2月2日、まれに14日に冬ごもりのウッドチャックが穴から出て来て、その日が晴天で自分の影を見た場合、また6週間の冬ごもりに入るという俗信)の先駆け的存在である。スコットランドのゲール人の、この日に関しての言い伝えにこのようなものがある。 Thig an nathair as an toll Là donn Brìde,Ged robh trì troighean dhen t-sneachdAir leac an làir."The serpent will come from the holeOn the brown Day of Bride,Though there should be three feet of snowOn the flat surface of the ground."蛇が穴から出て来る、この陰鬱なブリギッドの日に。まだ雪は地面の上に、3フィート(約91センチ)も積もっているのに。 インボルクはカリアッハ・ヴェーラ(ゲール民族の伝説に登場する妖婆)が、冬の残りの日々のために薪を探す日でもある。カリアッハ・ヴェーラは、冬を遅く終わらせようとたくらんでおり、インボルクが明るく晴れるのがわかると、今後も続く冬の薪拾いに精を出すため、この日が悪天候の場合、人びとは、冬がほぼ終わりかけていると知って安心するのである。マン島では、インボルクの日には、カリアッハ・ヴェーラが、くちばしに棒を何本もくわえた、巨大な鳥の姿で見えるという。 火と清めは、この祭りの重要な側面である。詩と医療と鍛冶の、ゲールの女神ブリギッドはキリスト教では、女神と聖人の両面を持ち合わせ、聖なる井戸、医療に加え、神の火とも関連付けられている。ろうそくの明かりと火は、暖かさの再来と、やがて来る季節の太陽の力が増すことを表している。 カトリックの国フランスでは、キャンドルマスの祝いとして、伝統的にクレープが作られるが、その丸い形が太陽を表すといわれる。
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