ゲーデルの理論との整合性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 23:27 UTC 版)
「数学的宇宙仮説」の記事における「ゲーデルの理論との整合性」の解説
MUHはゲーデルの不完全性定理と矛盾していることについても指摘されている。テグマークおよび同僚の物理学者ピート・ハットと Mark Alfordの間では次のような議論が交わされた。"世俗主義者" (secularist) のAlfordは次のように述べている。形式主義者によって認められている方法は十分に強力な体系における全ての定理を証明することはできない。また、数学は"外部の存在"であるという考えは、数学は形式体系で構成されているという考えとは相容れない。 テグマークの回答は、次の新しい仮説を提出することであった (sec VI.A.1)。完全に決定可能でゲーデル完全 (Godel-complete) な数学的構造のみが物理的実体を持つ。これは 本質的に複雑性の上限を定めることで全面的にレベル IV 多元宇宙の定義範囲を縮小させ、われわれの宇宙の相対的な単純さを説明するという魅力的な効能を持つ。そして、テグマークは次のように続ける。従来の物理学の理論はゲーデル決定不能 (Godel-undecidable) であるが、われわれの世界を記述する実在の数学的構造は依然としてゲーデル完全であり、ゲーデル不完全な数学について考える能力のある観測者を原理的に含むであろう。ちょうど有限状態デジタルコンピュータがペアノの算術のようなゲーデル不完全な形式体系についての特定の定理を証明することができるように。さらに、彼はより詳細な回答を示し、MUHに代わるより制限された計算可能な宇宙 (Computable Universe Hypothesis, CUH) を提案した (sec. VII)。CUHでは、この宇宙はゲーデルの定理がそれらにどんな決定不能/計算不能な定理を含むことも要求しないだけ単純な数学的構造のみを含む。テグマークは、このアプローチは"重大な困難"に直面していることを認める。すなわち、(a) この宇宙は多くの数学的景観 (mathematical landscape) を含む;(b) 許容されている理論の空間上での測度はそれ自身計算不能である;そして(c) "実質的に全ての歴史的に成功している物理理論はCUHに違反しているなどの問題を含んでいる。
※この「ゲーデルの理論との整合性」の解説は、「数学的宇宙仮説」の解説の一部です。
「ゲーデルの理論との整合性」を含む「数学的宇宙仮説」の記事については、「数学的宇宙仮説」の概要を参照ください。
- ゲーデルの理論との整合性のページへのリンク