グリニッジの悲劇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 04:49 UTC 版)
「リチャード・トレビシック」の記事における「グリニッジの悲劇」の解説
同じく1803年、トレビシックが製作しグリニッジで使われていた据置型蒸気機関を使ったポンプが爆発し、4名の死者を出した。トレビシックは爆発の原因は設計上の問題ではなく操作ミスだと考えていたが、ボールトン・アンド・ワットはこの事故を高圧蒸気機関の危険性の喧伝に大いに利用した。 対策としてトレビシックはその後の設計に2つの安全弁を加え、一方だけを操作者が調整できるようにした。調整可能な安全弁は、蒸気室の水位より上、ボイラーの頂上の小さな穴を覆う円盤である。蒸気圧によって加えられる力は、回転レバーに付属する錘の重さで相殺される。レバー上の錘の位置は調整可能になっていて、操作者が最大蒸気圧を設定可能になっている。トレビシックはまた鉛の可溶栓をボイラーの最低安全水位のすぐ下に設置した。通常運転では常にボイラー内の水に接しているので、水の沸点を越えることがなく、鉛は溶けない。水位が危険なまでに低下すると、可溶栓が蒸気に触れるようになり、水による冷却が得られなくなる。すると鉛が溶けて栓に穴が空き、蒸気を火室に逃がすので、蒸気圧が低下し火の勢いも弱まる。操作者は音が変化することで可溶栓が作動したことを察知でき、対処する時間を稼げる。また、ボイラー製作時に圧力試験を行うようにし、水銀圧力計を使って圧力を読み取れるようにした。
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