クー・フーリンとの決闘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/11 06:22 UTC 版)
「フェル・ディアド」の記事における「クー・フーリンとの決闘」の解説
次のクー・フーリンの対戦相手には満場一致でフェル・ディアドが選ばれた。彼の持つ胼胝状の皮膚には尋常の刃が通ることは無く、その可能性があるとすればクー・フーリンの持つ槍「ゲイ・ボルグ」のみであろうが、それすらも跳ね返されるだろうと期待されたのだ。この里子兄弟同士の対決は双方にとって望むところではなく、フェル・ディアドは友との戦いを拒絶し召喚を無視するが、メイヴは自身の娘フィンダルをあてがい、酔わせ、決闘の約束をさせる。その後、酔いが醒めたことで渋るフェル・ディアドを吟遊詩人に臆病者と侮辱させると脅し、最後には言葉巧みにクー・フーリンがフェル・ディアドを誹っていたと騙して対決へと誘導した。一方、フェルグス・マク・ロイヒと密会し次の対戦相手にフェル・ディアドが選ばれたことを知ったクー・フーリンも、旧友を殺さねばならない運命に悄然とした様子を見せた。 翌日、両雄は川の浅瀬を決闘場所に選ぶと、スカータハから授かった武術の全てを尽くして激突した。 フェル・ディアドは優勢に戦いを進めていたが、クー・フーリンの御者ライグが主人に対して野次を飛ばすと、彼は怒りで膀胱のように膨れ上がりフェル・ディアドを圧すほどの体格となった。次に、ライグは川の上流からゲイ・ボルグを流して彼へと渡した。クー・フーリンはつま先で槍を捕らえると、これをまずフェル・ディアドの肛門へ、次に胸へと放った。最初の一撃でフェル・ディアドの肛門に突き刺さったゲイ・ボルグは彼の体内で24もの棘を開いてこれを引き裂き、二撃目は彼のあばらを砕き心臓を貫いた。クー・フーリンが「これ以前の対戦はみな遊びのようなものであった」と評するほどの激闘はこうして幕を下ろした。 この戦いの場となった浅瀬は、彼の名からアート・イル・ディアと名付けられる。
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