クー・フランとの出会い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 14:27 UTC 版)
エメルは、クー・フランの妻としてよく知られている。二人の出会いについては、アルスター物語群のひとつ「エメルへの求婚」に詳しく記されている。この物語は『赤牛の書』や『レンスターの書』などの写本に残されており、いくつかのバージョンがある。あらすじは以下の通り。 クー・フランはウラドの女たちや娘たちのあこがれの的だったが、妻を娶っていなかったため、男たちは自分たちの妻や娘が奪われはしないかと危惧した。そこで人々は彼のために妻を見つけようと、コンホヴァル・マク・ネサに相談をした。コンホヴァルはアイルランド中に物見を送ったが、ふさわしい女性を見つけることができなかった。 そのころ、クー・フランはエメルとの逢引に出かけていた。クー・フランは、同い年で血筋や才能に恵まれたエメルと交流するうちに、彼女以外に自分にふさわしい妻はいないと考え、求婚した。二人は互いに恋に落ちていたが、エメルの父フォルガルは婚姻を許可しなかった。理由として、まず彼女の姉フィアルが結婚しなければならないことと、結婚するにはクー・フランの武術の修練が足りないことを挙げた。そして、クー・フランにアルヴァ(スコットランド)のドウナルのところで修行するように言い渡した。クー・フランが親しい仲間とドウナルを訪ねると、ドウナルはアルヴァの東方に住む女武者スカータハの下で修練するように言い渡した。クー・フランは独りで旅を続け、スカータハのもとに辿り着いた。 そのころ、フォルガルはエメルをテウィル(タラ)王ルギドと結ばれるように仕向けた。しかし、彼女のクー・フランへの想いと、ルギド自身のクー・フランに対する恐れから、二人は夜を共にせず、この企ては失敗した。 スカータハのもとでさまざまな武術を学んだあと、クー・フランはアイルランドに戻った。クー・フランがフォルガルの城砦に近づくと、戦いが始まった。この戦いで、フォルガルはクー・フランから逃げようと城壁から飛び降りて死んだ。クー・フランはエメルを連れてコンホヴァル王の赤枝の館に帰り、ウラドの人々に迎えられた。
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