キツネアマダイ科とは? わかりやすく解説

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キツネアマダイ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/28 21:31 UTC 版)

キツネアマダイ科
アカアマダイ Branchiostegus japonicus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : スズキ亜目 Percoidei
: キツネアマダイ科 Malacanthidae
英名
Tilefishes
下位分類
本文参照

キツネアマダイ科学名Malacanthidae)は、スズキ目スズキ亜目に所属する魚類の分類群の一つ。キツネアマダイやオキナワサンゴアマダイなど、やや深みで暮らす底生魚を中心に2属16種が記載される[1]。科名はギリシア語で「mala(多くの)」と「akantha(トゲ)」を意味し、本科魚類の仔魚が頭部とに多数のトゲをもつことに由来している[2]

従来はアマダイ科もキツネアマダイ科の中にアマダイ亜科として含有されてきた。しかし現在はアマダイ亜科はアマダイ科とされており、Fishbaseでもアマダイ亜科をキツネアマダイ科の中には含めていない[3]

分布・生態

キツネアマダイ科の魚類はすべて海水魚で、太平洋インド洋大西洋など世界中の温暖な海に幅広く分布する[1]海底と密接に関連した生活を送る底生魚のグループで、底生性無脊椎動物動物プランクトンを主に捕食する[4]。分布水深は10m程度の浅場から深場に生息する。キツネアマダイ亜科は水深50mまでのサンゴ礁岩礁付近の砂礫底に生息する。

本科魚類はすべて海底に穴を掘り、隠れ住む習性がある[2]。トンネルの構造は非常に複雑で、キツネアマダイ亜科の一部の種類はサンゴの破片や貝殻を入り口に積み上げ、塚状の構造物を形成する[5]。この構造物は他の魚類や無脊椎動物にも生息場所として利用され、砂泥底における多様性の拡大に貢献していると考えられている[5]

形態

キツネアマダイ科の仲間は左右に平たく側扁した、いわゆる型の体型をもつ。数十cm程度の種類が多く、最大種でも70cm程度である。

背鰭は1つで基底は比較的長く、鰭条の総数は22-84本[1]。臀鰭も長い基底をもち、1-2本の弱い棘条と11-55本の軟条で構成される[1]。腹鰭は1棘5軟条で、尾鰭の形状は截形あるいは二又形までさまざま[1]

鰓蓋骨に1本のトゲをもち、キ鋭く強靭となる[1]。鰓条骨は6本。体は比較的細長く、頭部は横方向に丸みを帯びる[1]。背鰭はキツネアマダイ属では1-4棘43-60軟条で、サンゴアマダイ属では3-10棘13-34軟条で構成される[1]。臀鰭の軟条は12-55本[1]

分類

本稿ではFishBaseに記載される2属16種についてリストする[2]

Nelson(2006)の体系においてはキツネアマダイ科は2亜科(キツネアマダイ亜科、アマダイ亜科)5属40種が認められている[1]。キツネアマダイ亜科およびアマダイ亜科の形態学的差異を重視し、後者を独立のアマダイ科 Branchiostegidae として扱うこともしばしばある[4][6]

本科とセミホウボウ科との類縁関係が一部の研究者によって指摘されているが[7]、その後の形態学的・分子生物学的解析はいずれも否定的な見解を示している[8]

標準和名がない種のうち、伊豆大島、硫黄島、鹿児島県竹島屋久島よりサンゴアマダイ属の Hoplolatilus randalli が水中写真により記録されている[9]

出典・脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.357-358
  2. ^ a b c Malacanthidae” (英語). FishBase. 2025年10月28日閲覧。
  3. ^ Fishbase”. 2024年6月12日閲覧。
  4. ^ a b 日本の海水魚 1997, pp. 308–309.
  5. ^ a b 『The Diversity of Fishes Second Edition』 p.303
  6. ^ 新版 魚の分類の図鑑 2005, p. 86.
  7. ^ Imamura H (2000). “An alternative hypothesis on the phylogenetic position of the family Dactylopteridae (Pisces: Teleostei), with a proposed new classification”. Ichthyol Res 47: 203-222. 
  8. ^ 『Origin and Phylogenetic Interrelationships of Teleosts』 p.162
  9. ^ 本村浩之・出羽慎一・古田和彦・松浦啓一 編『鹿児島県三島村-硫黄島・竹島の魚類』鹿児島大学総合研究博物館・国立科学博物館、2013年、139頁。 
  10. ^ 尼岡邦夫「きつねあまだい」『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館、2022年2月18日https://kotobank.jp/word/%E3%81%8D%E3%81%A4%E3%81%AD%E3%81%82%E3%81%BE%E3%81%A0%E3%81%84コトバンクより2025年10月28日閲覧 
  11. ^ 尼岡邦夫「ヤセアマダイ」『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館、2023年10月18日https://kotobank.jp/word/%E3%83%A4%E3%82%BB%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%80%E3%82%A4コトバンクより2025年10月28日閲覧 
  12. ^ 日比野友亮,中村亨,木村清志「八重山諸島西表島から得られた日本初記録のホタルビサンゴアマダイHoplolatilus fourmanoiri Smith, 1964(条鰭綱スズキ目キツネアマダイ科)」『タクサ:日本動物分類学会誌』第42巻、2017年、48-53頁、doi:10.19004/taxa.42.0_48 
  13. ^ Hoplolatilus cuniculus Randall & Dooley, 1974 オキナワサンゴアマダイ”. BISMaL. 国立研究開発法人海洋研究開発機構. 2025年10月28日閲覧。
  14. ^ Hoplolatilus chlupatyi Klausewitz, McCosker, Randall & Zetzsche, 1978 タマムシサンゴアマダイ”. BISMaL. 国立研究開発法人海洋研究開発機構. 2025年10月28日閲覧。
  15. ^ 吉野哲夫, 昆健志「日本初記録のキツネアマダイ科魚類アカオビサンゴアマダイHopldatilus marcosi」『魚類学雑誌』第45巻第2号、1998年、111-114頁、doi:10.11369/jji1950.45.111 

参考文献




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