ガラスの枚数を巡る都市伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/15 00:14 UTC 版)
「ルーヴル・ピラミッド」の記事における「ガラスの枚数を巡る都市伝説」の解説
ルーヴル・ピラミッドに使用されているガラスの枚数が、サタンと関連があるともいわれる「獣の数字」と同じ666枚だとする説がある。作家ドミニク・Stezepfandtの著書『フランソワ・ミッテラン、大宇宙の建造物 (François Mitterrand, Grand Architecte de l'Univers)』に「(ルーヴル・)ピラミッドは『ヨハネの黙示録』に獣として記されている、大いなる力に捧げられたものだ。・・・・・・ピラミッド全体の基礎となっているのは数字の6である」という記述がある。 ルーヴル・ピラミッドのガラスが666枚であるという説は1980年代から存在した。ルーヴル・ピラミッド建築中に出版されたルーヴルの公式案内書に、ガラスの総枚数が666枚であると、二箇所で記されていたのである(ただし、同じ公式案内書には672枚と記されている箇所もあった)。様々な新聞がこの666という数字について報道したが、最終的に完成したルーヴル・ピラミッドに使用されたガラスは、菱形603枚、三角形70枚の、計673枚だった。また、デヴィッド・シュガーツは、ルーヴル・ピラミッドのガラスは689枚だと主張した。シュガーツはこの枚数は、設計者のイオ・ミン・ペイの事務所から入手したものだとしている。 ルーヴル・ピラミッドに使用されている正確なガラスの枚数は、初歩的な数学から算出することができる。エントランスがある壁面を除く三つの壁面には、三角形のガラスが18枚使用されており、最下部には17枚の菱形のガラスが使用されている。これを三角数に当てはめると 17 ⋅ ( 17 + 1 ) 2 = 153 {\displaystyle \textstyle {\frac {17\cdot (17+1)}{2}}=153} となり、三角形のガラス18枚と併せたガラスの枚数は171枚と算出される。エントランスがある壁面は、他の壁面に比べて菱形のガラスが9枚、三角形のガラスが2枚、それぞれ少ない。よって菱形のガラスの総枚数は 4 ⋅ 153 − 9 = 603 {\displaystyle 4\cdot 153-9=603} 、三角形のガラスの総枚数は 4 ⋅ 18 − 2 = 70 {\displaystyle 4\cdot 18-2=70} となり、すべてのガラスの総枚数は673枚ということになる。 ルーヴル・ピラミッドに使用されているガラスの枚数が666枚だという伝説が再び脚光を浴びたのは、アメリカの小説家ダン・ブラウンが2003年に発表した小説『ダ・ヴィンチ・コード』の影響だった。作中で主人公ロバート・ラングドンが「ミッテラン大統領の明確な指示により、このピラミッドにはぴったり六百六十六枚のガラス板が使われている-666は悪魔の数字だとする陰謀論者たちのあいだで、この奇妙な指示はつねに議論の的となってきた」というモノローグが書かれているためである。しかしながらデヴィッド・シュガーツは、イオ・ミン・ペイ事務所の女性広報担当の話によれば、ミッテランがルーヴル・ピラミッドに使用するガラスの枚数に口出ししたことは一度もないと反論している。ルーヴル・ピラミッドに使用されているガラスの枚数が666枚だという説が、1980年代にフランスの新聞によって流布されたのは事実である。しかしながら、この女性広報担当は「古い情報を鵜呑みにして真実を確認しないのであれば、この666という数字を巡る都市伝説を信じてしまう愚かな人ということになるでしょう」としている。
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